Sunday 5 March 2023 FKK

目と手の協応/スイッチ操作/文字
担当:松本
■活動の様子
睡眠不足のせいか、覚醒がなかなか上がらなかった様子でしたが、スライドスイッチでVOCAを操作し初めの挨拶をして、いつも通りのメニューを行いながら覚醒が上がるようにはたらきかけました。
・目と手の協応:ボコボコチェーンミニからスタートしました。少し心拍数が上がったところでスライドスイッチの上に手を置き、抵抗を少なくすることで最後のひと引きの手の動きが出る場面がありました。玉落とし、スライディングブロックは、肘を屈曲させた位置で操作できるように支えながら一緒に取り組みました。


・スイッチ操作:iPad のKeynote で作成した音楽スライドをスライドスイッチ操作しました。机の上の提示、腕を屈曲した位置での提示を試しましたが、脈拍が睡眠状態の数値のままだったので一緒にスライドさせて音楽をかけて待ちました。2曲ほどバリエーションを変えながら一緒に聴きました。
・文字:自分の名前の凸文字を一緒になぞり、その後、ブギーボードに書きました。覚醒が低いままだったので、ご本人の動きは出ませんでしたが、次回に活かせるようペンの握り方、支え方は確認できました。

※iPad提示用の「Manfrotto クイックリリースプレート付きバリアブルフリクションアーム 244RC」のノブのネジ山が削れ、アームが固定できなくなったそうです。お母様が、Manfrottoに問い合わせたところ

部品の購入につきましては添付展開図の該当型番にて、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、カメラのキタムラ、店頭カメラコーナーにて、お取り寄せでご注文いただけます。

とのことでした。カメラのキタムラに問い合わせたところ、注文はできるが手元に届くのは半年以上先だそうです。参考までに部品番号と値段、展開図のリンクも貼っておきます。

・R132,27 :1,320円

・R3,0911 :1,100円

・展開図:244RC-20050510

Saturday 4 March 2023 MM

視線入力/目と手の協応/文字

担当:松本

■活動の様子

・視線入力:パソッテル(視線入力用モニター固定アーム)に自作の下駄を履かせ高さを出し、設置しました。今日はうまく設定できたらしく、ポジションソフトで確認したら、ほぼ全部適切な位置に提示できていました。風船割りから調子良く割れ、sensoryの自動車や玉転がし、花火なども上に視線が集まりやすい傾向はありましたが、上下左右へ定位ができる場面があり、履歴では画面中央から全体に広がる視線が確認できました。50分ぐらい取り組んだのですが、終わりにすると伝えると、声を出してまだやりたいと伝えてくれました。他にやることがあるのでと説明して納得してもらいました。視線入力での自分でできる体験が、文字学習の指が自分で動かせるという自信につながっているように感じました。

・目と手の協応:ボコボコタッパーミニからスタートしました。お母様が上手に設置してくれると、途中までは両手を開きチェーンをひいていましたが、最後のひと抜きのところでうまく調整できなかった様子だったので、少しだけ右手の位置どりを手伝うとあとは自分で抜き切っていました。前回、学んだ右手の屈曲位での操作を今回も行いました。玉おとし、メダルはめ、スライディングブロックの順で取り組みました。玉落としは、曲げている肘を前に伸ばす動きで落としていました。3個穴も1個目2個目は連続して、最後の3個目はじっくりと落としていました。スライディングブロックは、肘を伸ばし前に動かす動きと、肘を曲げてをあげるような動きで上下左右にブロックを動かしました。この力を抜いたり、入れたりの動きが自分の動きを介助者にわかるように伝える練習になり次の書字の学習に生きてきました。肘を屈曲させた位置というのが、Mさんの力まなくてニュートラルの位置で、この位置からならどの方向にも運動を開始しやすいことが教材を使いながら実証されました。


・文字:あかさたな・・とどの行を本日練習するか聞いていくと、なのところで首を動かし合図を出してくれました。まずは、フレキシブルアームの先につける凸文字なぞりようの鉄板付きの板を作成し納品しました。オリジナルの強力マグネットバーも合わせてお渡ししました。フレキシブルアームを使うことで、一番力が抜け、意図的な運動が出やすい肘が屈曲したいちに凸文字の提示が可能になりました。さらに、ちょうど見やすい位置に提示できたため、指先や文字を見ながら確認することができていました。また、マグネットバーは、指先を動かす練習時に、ガイドとしても使用できます。Mくんは、上手にバーに沿って指先を一人で動かせていました。

凸文字なぞりからMさん本人の動きが確認でき、手のひらに書いてもらうときも力の抜き入れや、上下左右方向への動きがこちらに明確に伝わってくる場面が多かったです。さらに、ブギーボードを導入しました。ペンには木のビーズをつけてグリップにしたものです。こちらでの書字も、力の抜き入れや、上下左右方向への動きがよく伝わってきて、なんとかイメージ通りに字を書こうとしていることがわかりました。「の」を書くときは時のてっぺんのところで、自分では右に行きたいのに、調整がうまくつかず頑張っているところも、ボードに跡が残っていました。指先の延長上にペン先が来るように握れたのですが、時々爪の方がペン先を追い越して前に出て、爪で文字を書く場面もありました。専用ペンでなくとも書けることがわかり、柔らかめの木の丸棒を鉛筆削りで削ってペンを自作することもできると思いました。そうすれば色々なグリップのペンを用意できます。


大変な集中力が、本人も支援者もいるので1行練習がやっとでした。ヘルパーさんとも空いた時間にできると良いですねとお話ししました。

Saturday 4 March 2023 FK

目と手の協応/文字/スイッチ操作
担当:松本
■活動の様子
・目と手の協応:今日は手の動きが良さそうだったので、ボコボコチェーンを左手、右手の順番で取り組みました。最後のひと抜きを、自分の手の動きでできました。次にボコボコチェーンミニのグリップを左手、チェーンの方を右手に付けて、待ちました。手の動きが確認できなかったので、左手の腕のあたりのをマッサージするとその刺激から、両手を開くような動きが出て、チェーンを抜き切ることができました。次に、文字練習の導入のため、スライディングブロックに取り組みました。こちらも左右の手順番に取り組みました。前回やったように、腕を屈曲させる位置で動きを待ちましたが中々出てこなかったので、机に教材を置き、教材を動かすことで方向を感じてもらいながら取り組みました。


・文字:凸文字をなぞった後に、手の平に書いてもらい、次に今回導入したキングジム(Kingjim) ブギ-ボ-ドにもチャレンジしました。ブギーボードのペンは細いため、木のビーズでグリップをつけました。ペンにスポンジで厚みをつけてビーズを装着しました。文字なぞりになると、指の良い動きが出て来ました。手のひらへの指の動きは今日はあまりでませんでした。ブギ-ボ-ドへの動きも良いとはいえませんでしたが、微細な動きもしっかりボードがひろっていて、指の動きの視覚化ができそうです。すごく小さな○も読めるように書けるだけの精度がありました。ブギーボード用のペンも、指先と一直線に握れていて、指の動きと同じように動かせていました。
今後も、Kさんと練習して精度を上げていきたいです。


・スイッチ操作:前回宿題っであった、スライドスイッチの握りを作ったので試しました。ところが、上から押さえつける力が強いとスプリングの軸として使っている丸棒が穴と干渉して動きが鈍くなることが判明しました。丸棒を削る必要があり次回までに改良する予定です。スライドスイッチでは動きがあまり出なかったので、空気圧センセースイッチに変えて、iPadでkeynoteの音楽スライドをスイッチを押して進めました(スライドの作り方はこちら)。
何回か、自分の動きで操作できました。入院もあったのでまだまだ本調子ではないため、次回はPPSスイッチをまばたき操作するなどに切り替え、自分の動きで操作できる経験を積みなおす必要があると感じました。

Wednesday 8 February 2023 HT

音楽

担当:石橋

■活動の様子

 今回もピアノを弾き始めると、T君がピッタリ寄り添ってくれて嬉しかったです。
早速、前にT君のお気に入りだと言っていたNHK教育番組「クインテット」の中から、「シャツとパンツ」を弾いてみたらお母様が一緒に歌ってくれました。軽快な楽しい曲で、続いてスコットジョプリンの「エンターテイナー」も弾いてみたら、興味を示してくれたものの、まだ今一つの様子。

 やはりクリスマスソングが良いとのリクエストで、「ジングルベル」や「きよしこの夜」、「サンタが街にやってくる」、「赤鼻のトナカイ」他、いわゆる定番曲を歌いました。本当に季節に関係なく、いつ聞いても楽しめる曲だなと思います。いつも聴いているというCDには、私の知らないクリスマスソングも入っていて、勉強になりました。

 続いてサッチモで覚えたというディズニーソングの、白雪姫の「ハイホー」、「いつか王子様が」、「星に願いを」なども、楽しそうに聴いてくれました。

 もちろん、お約束の連弾も。T君はピアノは好きなようなのですが、高音をバンバン叩くわけではなく、どちらかと言うと聞きながらチョッと鍵盤に手を落とす感じ。最後は、お腹をピアノにくっつけて振動を聴いているようでした。電子ピアノは、今回はほとんど興味を示さず、模擬演奏のラグタイムのピアノに興味を示していた様子でした。

 前回のジミヘンをアレンジしたギルエバンスの曲を聴いた時の反応をみて、リズムのしっかりした電子楽器の音と一緒に音を出せないかと思い、手持ちのミニピアノの中の16ビートの模擬演奏を流しながら、上から音を重ねようとしましたが、思いのほか反応はなく、前回のような振り振りダンスは見られませんでした。お母様曰く、「電子音だからかも」とのことでしたが、やはり音色の厚みや迫力のあるリズムの音圧などを感じ取っているのかなと思いました。次回はジャズアレンジでなく、ジミヘンのロックそのものを聴いてみるのも良いかなと思いました。

 いくつか打楽器もあり、音源に合わせて鳴らしたりしましたが、あまり興味は示さず、ピアノに戻ることに。今度は、T君がピアノの下にもぐって響きを聴こうとしているようだったので、なんとお母様がわざわざ鍵盤下の羽目板を外して、T君が、より音の出方を感じられるようにしました。中のハンマーの動く様子もよく見えるようになり、ペダルを踏むと響くことや、踏まない時との音の違いを聴いてもらいました。お母様が、そのうち、あれよあれよという間にピアノの上方部の羽目板も取って、T君にズラリと並んで張られているピアノの弦を見せてあげました。物理的に弦をハンマーでたたいて音が出る仕組みを知るのは、大切なことだと思います。圧倒的なお母様の愛情が伝わって来たようで感動しました。ジッと覗き込んでいたT君は、何を感じていたのかなと思いました。

 T君のピアノに対する興味はかなりありそうですが、T君が自分の音を出すにはどの楽器が一番いいのか、より深い音楽との関り方など、まだまだこれからも、あれこれ探してみたいと思います。

Wednesday 1 February 2023 FKK

音楽

担当:石橋

■活動の様子

 伺った時、Kさんはまだベッドで寝ていたのですが、ヘルパーさんが起こして下さって車椅子に座らせてくれました。まだ最初は目を閉じてウトウトしていたようですが、気が付くと目を開けていて、にこやかに聴いていてくれました。

 まず季節の歌として文部省唱歌「冬の星座」と、その原曲カントリーの「Mollie darling」の聞き比べをしました。風格ある美しい日本語の歌詞に対して、原曲は熱烈に恋人を思うシンプルなラブソングという話をしたら、ヘルパーさんが驚いていました。メロディーは同じでも、アレンジと言語が違うと全く別の曲に聴こえる面白さを、Kさんにも感じていただけたら良いなと思った次第です。「唱歌の中にはメロディーだけ外国から輸入して、歌詞は日本の国学者が原曲に関係なく付けるということがよくあるけれど、この曲はすっかり日本の曲として馴染んでいる代表的な曲の一つ」というお話をしたら、文語体の歌詞の歌は最近学校でも歌われなくなっているようで、Kさんも知らないかもしれないとのこと。ちょっと残念でした。

 季節の曲として、もう1曲「北風小僧の寒太郎」を歌ったら、この曲は、Kさんも知っていたみたいで、一瞬目を大きくして反応。ヘルパーさんがKさんの手を持って、掛け合いで一緒に歌って下さったら楽しそうでした。他にも、Kさんが知っている曲として、「森のくまさん」「おもちゃのチャチャチャ」「大きな古時計」「南の島のハメハメハ大王」などを、ヘルパーさんと一緒に打楽器を鳴らしながら聴いてくれました。終始ニコニコと楽しそうでした。

 さて今回は、「Kさんホイッスル」の握り部分の取り換えをいろいろと試してみました。新しくお持ちした、クリームを入れるチューブに替えてみると、大きさはKさんに丁度良いようで、手のひらの中に収まる感じでした。一緒に手を持ってギュッと押してみると「ピッ!」と小さい音がしました。Kさんは、音にハッとしたようでしたが、なんだか嬉しそうでした。サイズ的には収まりの良い大きさなのですが、握った時に出る空気の量が少ない感じで音が小さいのと、ちょっと硬くて押しにくそうなところもありました。どうもシリコンのチューブを用意したつもりだったのに、ふつうのプラスティックタイプと間違えて購入してしまったようで、もう一度試してみたほうが良さそうでした。

 今の段階では、柔らかさは水風船膨らませポンプが良いようでしたが、握り感覚の大きさはチューブが良いようで、次回までいろいろ試していただくことにしました。

Sunday 12 February 2023 MH

コミュニケーション/操作

■活動内容
 12月以降久しぶりの来室でした。アンパンマンの歌を歌うとすぐに笑顔になり、場所や人への適応が良好でした。座位保持椅子で天板なしの姿勢で取り組みました。
・VOCAを提示するとすぐにONによりはじめのあいさつをしました。
・振動クッションとスイッチの組み合わせでは、スイッチはすぐに押し、振動クッションに驚きの表情を見せました。手を離す動作は意図的なOFFというより偶然手が離れて一息つくといった印象でした。
・お父さんにマッサージするという目的で、クッションを父に渡しました。同様にスイッチをすぐにON。振動音や父のことばがけを手がかりに、クッションを何度も注視していました。
・つかむ、はなすの練習では、キノコ型の円柱を使用しました。きのこの縁に手指がかかることで取り出しのきっかけが向上しました。
・引く動きが弱いので、得意のチェーン引きで促しました。手指や手首メインの動きで、肘介助で引く動きを促しました。
・縁に手指をかけた後に、取り出す動きがスムーズに出ました。
・こけし型円柱では、縁がないため手がかりがつかめない様子でした。
・偶然太股部分に落ちたきのこを拾う際に手指が自然に開いたため、意図的に股付と内股の間にきのこをセット。するとしっかり握って把持しました。探索的に触れる動きとは明らかに違う動きでした。内股からのフィードバックもあるのか、最もよい動きでした。
・きのこを把持した手の近くに缶を出すと、リリース。リリースまでの時間が最短でした。繰り返しても同様で、意図的リリースが向上しました。
・極小の玉落としでは、目的的な手の動きが確認できました。指のはら、側面で玉を押し落としていました。
・大玉の玉落としでは、大玉はしずめておくことで落とせました。穴への探索が多くでていました。
・小玉の玉落としでは、玉への定位はあるがパワーが弱く落ちなかったです。
・T字の棒抜きでは、バーに指がかかるものの握ることはなく、探索的に触れている様子でした。。
・卵形、落花生形、いちご形と関心の高い食物を模したマラカスでは、モチベーションが向上し、右手リーチ→把持→口の一連の動作が速く出ました。直前のバーとの手の使い方との差が明らかでした。
このような、もので握りを作るとより操作課題への取り組みが促されると思われるので次回までに教材を用意したいと思います。
・VOCAを提示するとすぐにスイッチを押して終了のあいさつをしました。

Sunday 12 February 2023 TS

コミュニケーション/操作

■活動内容
・最初に、前回経験したことの復習をしました。購入されたマイVOCAを使用。録音は「○○(2キャラクター名)どーこだ?」。VOCAは天板中央上部に設置。記憶している様で、すぐに操作を開始しました。本日は上肢の調整良好でした。どーこだ?のタイミングも前回より良好でした。
・次に誰に質問するかを、VOCAの1/2選択にて表現する課題。一方に松本支援員の写真、一方は無地で「ママ」。本日はVOCAの位置を変えても「ママ」を表現できました。
・極小の玉落としでは、A3位の面。左右上下、中央の5カ所に、12cm四方に銀玉をセット。左方上下、中央はほとんど落としました。
・ひらがなカードのマッチングでは、姓名の長いカードと「まま」の短いカードをホワイトボードに提示。中央に置いたカードを動かしてマッチングしました。操作的に負担が大きいか、または、左右に寄せるために高さが必要か検討の余地はありましたが、ややあいまいながら左右への振り分けは良好でした。
・スライドオルゴールでは始点を左上に設定すると、バーに手をかけて斜めにスライドして下ろしました。2/3の長さは一度におろせました。スライドチェーンは抵抗があるが、操作のパワー有り取り組めました。

Wednesday 22 February 2023 KS

NewJeans「Ditto」の英語と韓国語の聞き取り

日本史「飛鳥時代2」

 

担当:奥山

【活動の様子】

外がとても暖かくて春がすぐそこまで来ている話をしました。

そしてBluetoothミニキーボードを改造して作ったスイッチインターフェイスを使ってKSさんが大好きな「Switch Box Invaders」を設定する方法をお母様にお伝えしました。

そして今日の学習の予定の説明。

いつもでしたら最新音楽情報を紹介するのですが、今回はNewJeansのDittoの聞き取りについて紹介させていただきました。この授業でも学校の授業でもDittoのPVを視聴しているKSさんは楽曲が始まると表情が明るくなりました。本当に結構クセになる楽曲とダンスです。聞き取りができない状態では「んーんーんー」とハミングすることしかできないのですが、聞き取りができるようになってくるとPVで聞いた音のまま(CDを頭の中で再生するように)音が聞こえてくるようになります。このことは運動に制約があって自分で音楽を選んで再生することが難しい方たちにとっては「大きなこと」ではないかと考えて、ずっと取り組んでいることでもあります。KSさんも以前は「中高生のうちに聞いておきたい洋楽ロック」というテーマでビートルズ等のナンバーの英語の歌の聴き取りに取り組んでいました。今回久しぶりに振ってみました。ちなみにこの記録を書いている時点では「Apple Music東京ベスト25」の2位が「Ditto」です。KSさんは注意を向けて聞き取りに取り組んでいらっしゃった様子でした。デレビからDittoのメロディが聞こえてくると多分KSさんはビクンと体幹を動かして「知ってる」とおっしゃると推察しています。

 続いて日本史の飛鳥時代の学習は前回の続きです。最初に前回の復習からはじめた方がよいか、どんどん進んだ方がよいか尋ねました。何度か繰り返し尋ねると、「どんどん」と言おうとしたところで体幹にグッと力が入ったので、復習をせずに先に進むことにしました。

 それと、日本史の学習を組み立てていくにあたり、高校の教科書を手に入れた話をしたときにKSさんの体幹に力が入りました。特別支援学校に就学する際に教育課程、特に教科書については説明、あるいは確認が十分にされているとは言い難いと考えています。大半のお子さんが学齢相当の教科書にアクセスできないと受け止めていますし、そのためにデジタル教科を活用する恩恵に触れられずにいます。デジタル教科を使う場合、「準ずる教育課程」で教科の学習に取り組んでいることを前提とされるからです。

Keynote教材を作りながらおおよその授業の内容や流れを検討していくのですが、毎回その中で学ぶことがとても多く、自分自身の中高生の時の勉強って本当に残念だったなと思い知るとともに、気づきや学びをえることになります。テストで評価するために人名や年号と事柄のみの暗記と再生を強いるやり方ではなく、例えば30分の説明をした後に、「今日の授業の中で面白いと思ったことや疑問に思ったこと、またはつまらなかったところ」を生徒ひとつずつに簡単に話してもらうような組み立ての方が、本当に歴史の学習で必要な要素を学ぶことができるとともに、自分自身の主体的な興味にも気づくことができるのではと考えています。

 今回は、この時代の権力争いの様相と大化の改新の内容についてお伝えしました。KSさんは時々体幹をピクンと動かしたり体幹や首に力を入れてご自身の興味や感想を伝えてくれるのですが、あとで記録を書くときにはそれがいつだったのかはすっかり忘れてしまうことが多いです。ごめんねKSさん。

 また、「打って打ち返す」ようなやりとりのタイミングが誰にとってもわかりやすいコミュニケーションは、特に運動の制約が大きい方にはとても難しいですか、その時間のスパンを「数秒」ではなく「数ヶ月」単位で考えることによって、お子さんの興味や関心、緻密で深い精神的な世界を教えてもらえるのではと考えています。最後に「乙巳(いっし)の変」と大化の改新、改新の詔に関するNHK for Schoolのショートの動画を見ることをまとめにかえて終わりました。

 次回は飛鳥時代のもうひとつの権力争いについて取り上げる予定です。飛鳥時代はまだまだ続きます。

 

Tuesday 14 February 2023 FKK

美術

担当:三輪

■活動の様子

 二週間ぶりの活動です。前週に体調を崩していたようで少しぐったりとした様子のK子さん、活動の途中も2回痰の吸引がありました。今朝方までよく眠っていた様子で、活動の間ははっきりと目を開けてのやりとりが行えました。

《活動その1》
 用意したハート型のフリースを左手でつかんでもらい、その中に私が化繊綿を詰めていきます、少しずつ膨らむのを感じてもらいました。できあがったハートのぬいぐるみに、嵐五人カラーの型抜きの蝶々を場所を相談しながらボンドで貼りました。左手にしっかりはさむことができるサイズになりました。

《活動その2》
 毎回行っている大野くん塗り絵、目の前に写真を貼って、右手にクレヨンをつかんでもらい、色を確認しながら塗りました。

《活動その3》
 時間の余裕があったので、太めの毛糸を何本か束ねて左手でつかんでもらい三つ編みをしました。途中に鈴を2つ付けて音と動く感触を味わいました。

 こちらから声かけをすると、目を開いて口を動かし対応してくれるK子さん、今日は何回もおおらかな表情で応えてくれました。「また来ます!」と挨拶して終了しました。

Tuesday 24 January 2023 HT

音楽

担当:石橋

■活動の様子

 先月はT君が大好きなクリスマスソングを歌うことが叶わなかったので、年は越しましたが、1カ月遅れでクリスマスソングをたくさん歌いました。
気持ちを切り替えるためにも、クリスマスツリーのピアスを付けていきました。

 T君と会うのは2度目なのに覚えていてくれて、ピアノを弾き始めた私の横に、いきなりピッタリとくっついてきてくれて嬉しかったです。お母様が、「弾きにくいでしょうから」とT君を後ろから抱えて、そのまま一緒に私の横に座ってくれました。するとT君は、今度は体を前にグッと曲げてピアノに覆いかぶさるようにしました。お母様によると、お腹をピアノにくっつけてピアノの響きを直接体で感じようとしているのではないかとのことでした。

 そのうち手の甲で鍵盤を叩き始め、ちょど良い時にちょうど良い音を入れてくれました。偶然かもしれないけれど、まるで曲の進行がわかっているみたいで驚きました。さらにそのまま、好きな時に好きな音をもっと弾いてもよいように、ブルースを弾いてみました。お母様がT君を促して下さって、連弾というより最後は3人で音を出して面白かったです。その後で、前にお約束したブルースコードの左手の進行の一つを、お母様にお伝えしました。前回、T君と親子連弾が出来たらとおっしゃっていたので、早くも実現しそうで嬉しいです。なにより、T君の好きな曲をと、わざわざ譜面を購入してご自身で練習されていた様子は素晴らしいなと思いました。今回は「Smile」も、小さい声で歌ってくれて嬉しかったです。

 次に、電子ピアノを使って、伸びる音でT君に自由に弾いて貰おうと思ったのですが、この日は気分が乗らなかった様子で、ほとんど鍵盤を触ろうとしませんでした。同じ鍵盤楽器でも、ピアノと電子ピアノの音色や音質の違いを知っている様子で、自分で音色を変えるスイッチにも触ろうとしていました。次回は好きな曲を聴くだけでなく、音色を楽しむこともできるかもしれないので、T君の好きな曲を1曲選んで、いろいろ音色を変えて演奏してみようかなと思います。

 T君の最近のお気に入りの曲を、お母様がYouTubeで聴かせて下さったのですが、イントロが始まったとたん、両手を広げて上半身を左右に激しく揺すりながら、まるでノリノリのダンスをしている様な動きを見せてくれました。反応する音楽と、そうでない音楽があるのは、単にリズムがハッキリしているだけではないかもしれませんが、これほど「この音楽が好き!」ということを体の動きで示せるなんて素晴らしいと思いました。