Wednesday 27 October 2021(ON)

減法(繰り下がりのある計算) 日本の総理大臣と世界の首脳 SenSim(鉄道シミュレーター)

担当 奥山

【活動の様子】

 最近ネットで話題になっている楽曲として、藤井風の「きらり」と緑黄色社会の「ずっとずっとずっと」のMVを視聴しながら、ONさんの手足に触れました。左手に触れると腕全体をえいっと動かしてそのあと親指を動かしていました。右手に触れると同じようにえいっと動かし、右足に触れると足首を支点にビクッビクッと何度も動かし、最後に左足に触れると足首を支点にビクン。ここ1、2年の間に手足の運動を「起こす」ことがとてもうまくなりました。一緒に勉強するのは3ヶ月ぶりなのですが、上達ぶりに驚きました。そのことをONさんに伝えると嬉しそうに笑っていました。ONさんもこのことを伝えたかったのだなと思いました。私も最高に嬉しかったです。

 次にONさんの好きな数学の勉強。今日は減法の「繰り下がり」の仕組みについて。最初は二桁の数から一桁の数を引く際の繰り下がりの仕組みをKeynoteの画面で確かめていきました。ONさんは鉄道が好きで、鉄道の話を聞くときや鉄道シミュレーションゲームに取り組むときには目をキラキラさせているのですが、数学に取り組むときにも同じ目のキラキラが伝わってくるので、本当に好きなんだなと思いました。続いて三桁の数から二桁の数を引く際の繰り下がりの仕組み(十の位の数から十を借りる)を確かめました。このように内容がシフトアップするときにキラキラした様子が維持していれば先に進み、目を閉じるようであれば尋ねて戻るというふうにしているのですが、キラキラ維持のため先に進みました(百の位の数から百を借りる)。まだまだ興味津々の様子でしたが、この先は次回へ進むことを約束。減法の次にはかけ算や割り算、小数や分数が待っていることを話しました。

 次に友だちが興味を持っていることの紹介として「日本の総理大臣と世界の首脳」について紹介しました。おひとりおひとり興味関心は異なりますが、KSさんと同様に「もう少し説明して欲しい」情報だった様子で、最後まで目を大きく開けてiPadのKeynoteの画面を見ていました。そしてKSさんと同じところ、カナダの女王もエリザベス2世で、15カ国の女王をしているというところで驚かれた様子でした(目が左右に動く)。この学習の発展系としては「エリザベス女王って何者?」「どうして15の国もの女王をすることになっているのか?」という、多分ONさんKSさんが疑問にもたれた可能性があることに答えてみることだと考えました。私も知りたいです(調べたい)。

 身の回りの社会のこといろいろについては本来であれば一定以上の時間をかけて、丁寧に説明していく必要があると考えています。

 最後の時間、ONさんが大好きなSenSim(鉄道運転シミュレーション:無料)に取り組みました。PPSスイッチのピエゾセンサーをONさんの右足首の甲側の関節に貼り付け、iPadタッチャーに接続して、粘着ジェル部をSenSIm画面のブレーキ「3」に貼り付けて、右足の動きで電車のブレーキを操作できるようにしました。また、シンプルタッチスイッチのセンサー部を左手親指先1mmの位置に置き、Bluetoothユニット(APPlicator)に接続して、iPadのアクセスビリティのスイッチコントロールでSenSimのマスコンを操作する軌跡のレシピを使って、左親指の動きでアクセルを操作できるようにしました(説明が長くなって申し訳ありませんが情報の共有のためにお許し下さい)。すると、アクセルとブレーキを何度も操作して見事にプラットホームの定位置に停車しました。これだけでも凄いことなのですが、終了間際にもう一度別の駅のホームの定位置に停車。定位置手前で止まりそうになるともう一度ブレーキを戻してアクセルを入れるという技巧を見せてくれました。もう最高です。

 前回の学習から3ヶ月の間、きっと頭の中で想像しながら手足を動かしてシミュレーションを重ねていたのだと思いました。

Monday 18 October 2121(KS)

戦国大名について 日本の総理大臣と世界の首脳 見ることを支えるシステム

担当 奥山

【活動の様子】

前回まで、大名の学習の手始めとして上杉鷹山を紹介しました。次の大名を選ぶために、ネットで検索したテレビ朝日系列で放送の「国民・専門家・AIがガチで選ぶ 戦国大名総選挙」の情報をもとに、人気がある、即ち耳にする可能性が高い戦国大名を紹介して、KSさんの興味を教えてもらうことにしました。ネットでは第30位から第1位までが見出し文とともに紹介されているのですが、今日は第10位から1位をKeynoteで文字情報と画像情報を示しながら紹介することにしました。

 その結果、KSさんの頭がピクッと動いたり首にギューッと力が入ったのは、「伊達政宗」と「徳川家康」、そして「武田信玄」でした。次回は「大河ドラマ」情報ともからめてその3人の大名について順に紹介していく予定です。

 次に、KMさんから注文があった「日本の総理大臣とアメリカの大統領」に関する学習を紹介しました。10月4日に総理大臣が替わったことを受けて、KMさんが「知りたい」と伝えたことを「共有」するためにKSさんにも興味があるか教えてもらおうと考えました。

 ここ10年の日本の総理大臣とアメリカの大統領、それから近隣諸国とG7各国の首脳を紹介したのですが、KSさんはカナダの女王がイギリスの女王と同じというところで驚かれた様子でした。これは皆さんの教材を作っているときの「あるある」なのですが、エリザベス2世が15カ国の女王だと私も知りませんでした。

 このように一定のフォーマットで提示する学習に取り組むことによって、次にそのテーマや事物に出会ったときに「知ってる」「興味ある」とアクションを起こして伝える「タネ」を共有できると考えています。

 最後に、シンプルタッチスイッチに操作時にカチッという触覚と音を返すユニットでアクションカメラが乗っている電池で動く回転台(ダイソーの自動回転シャボン玉メーカーを改造 谷田部さんのアイディア)を操作する練習をしました。見ることを支えるシステムの発展版ということになります。アクションカメラの映像はWi-FiでKSさんの目前に設置したiPadで見えるようにしました。スイッチを操作することによってKSさんは好きな方向を見ることができるようになります。しばらく練習しているうちにKSさんは頭の動かし方や首の力の入れ方を工夫して操作できるようになりました。練習をすればするほどきっとうまくなると感じました。

KSさんの歴史の勉強は続きます。

 

Sunday 10 Oct 2021(FK)

視線入力/目と手の協応/数量/文字

担当:松本

<活動の様子>
■目と手の協応
・ボコボコチェーン:左手につけてチェーンを引っ張ってもらいました。何度か自分の動きで引っ張りタッパーからチェーンを抜いていました。
・ボコボコチェーンミニ:左右両方の手で取り組みました。なかなか自分の動きが出なかったので2人羽織で一緒にチェーンを抜きました。


■数量
・φ50mm*30mm厚の円柱重さ確かめ:袋に入れて重さを感じてもらいました。手をブラーんと下に下げた状態で、少し揺らすのを手伝ってより重さを感じられるようにしました。袋を左手に持った状態で、立体コピーの数字も右手でなぞりました。


・φ50mm*30mm厚の円柱筒入れ:次に筒に入れて高さで量を確認しました。筒から落ちる手の感じの違いで高さの違いを感じてもらいました。自分から手が動かない時は筒をずらしながら手が離れるようにしました。時々、顔を上げて「今の分かった!」というような合図をくれました。筒に左手をのっけながら立体コピーの数字も右手でなぞりました。
・φ50mm*30mm厚の円柱はめ:次は長さで量を確認しました。はめ板に円筒に入れた円柱を一緒に移していきました。長さを感じてもらうために手を板の上に置いてもらい板をずらしながら手が板の端から離れるまでの距離を感じてもらえるようにしました。はめ板に左手を置きながら立体コピーの数字も右手でなぞりました。

・玉落とし:自分の手首を返す動きで球を落とす場面も見られました。
・円盤はめ:ぱっと見幾つ、残り幾つの質問に、数を順番に聴いて合図を出す方法で答えてもらいました。正解出ない時は一緒に穴を触りながら数えました。

■文字
・スライディングブロック:途中でブロックが離れないKさんように作った特製のスライディングブロックを行いました。自分での手の動きが出にくかったので、肘を支えながら上下左右に一緒にブロックを動かしました。ブロックが穴に入った瞬間は顔を上げて入ったことを感じていた様子でした。
・立体コピーなぞり:文字盤の文字を手を支えながら順番に触っていくと「か行」で指先が動いたのでか行から一緒になぞって練習しました。その後もう一度文字盤で文字を順番に触っていくと「ま行」で支えている指を動かし合図をくれました。一通りなぞったとに、手のひらに一つ文字を書いてもらうと「む」を書いたようだったので「む?」と聞くと表情で「そうだ」と答えてくれました。なぜ「む」か聞いていくとどうも「す」との違いが知りたかったようです。以前も「れ」と「ね」の違いを知りたいということがあったので、曖昧な字形を一つ一つ確認していきたいということかもしれません。
・文字なぞりをするときには、よく指先が動き表情も良かったです。

Saturday 9 Oct 2021(MM)

視線入力/目と手の協応/数量/文字

担当:松本

活動再開後初めての学びサポートでした。

<活動の様子>

 ■視線入力
・前回同様コントラストのはっきりした風船を用意し取り組みました。右側から中心にかけてが見易そうでしたが、左の方にも視線が動くのが確認できました。
・機器を設定して始める時の、M君の表情がとても意欲的で、視線入力は、大好きな活動でM君とのセッションには欠かせない取り組みだと再確認できました。
・風船割りの後は、射的のビデオアセスメントモードにして視線の動きを見させて頂きました。使用したのは黄金期のAKB48のメンバーを左右中央に一定時間ずつ表示する動画で、keynoteで作成したものです。風船割りで少し疲れ気味だったのですが、動画が始まると目を大きく開いて中央から右側をよく見てくれました。視線がうまく左にいかないときは手も含め体全体を動かしなんとか見ようとしてくれましたが、難しく、「左を向けない!」というように声を出して伝えてくれました。
・次回は動画の定時位置を中央から右側にしようと思います。そして少しずつ左にずらして提示するように練習できたらと思います。
・それでも風船の時は比較的左のほうへも視線が動いていました。風船は動くものなので静止画像より捉えやすかったからかもしれません。
・実は、活動日の午前中に自宅で視線入力を再確認した時にtobii4Cが認識されず大変焦りました。一旦tobii4Cのドライバーをアンインストールして、再インストールしようとしたのですが、なぜか「インストールできませんでした」という警告が出てしまい、パソコンを再起動してもう一度ドライバーをインストールしたらなんとか成功しました。tobii4Cも認識されことなきを得ました。こんなに楽しみにしてくれている視線入力ができなかったらと思い焦りました。私用パソコンのwindowsのアップデートも原因かなと思われますが、結構皆さん苦労しているようで様々な下のリンクのような解決策を共有してくれています。https://miyabiproject.com/get-up-tobii/
支援機器の不安定さは致命的です。本気でなんとかしてほしいものです。

■目との手協応
・ボコボコタッパー:右手を後ろに引く動作で抜ききってくれました。3回ほど繰り返しましたがどの回もすぐに手が動きチェーンを引っ張っていました。
・ボコボコタッパーミニ:棒を握る手を左右変えながら取り組みました。一気に抜くのでなく、ある一定の長さを抜いた後同じ動きで抜けないことがわかる
と、同じ手を一旦戻してより大きく動かしたり、方向を変えながら抜いたり、同じ手の動きで難しい場合は反対の手を動員したり、両手を使ったりと時間
をかけて試行錯誤しているところがよくわかりました。重力を使って手を下に降ろすことで最後に抜ききる方法も初めて見られました。回を重ねるごとに新しい手の動きが確認でき、工夫が見られ素晴らしいです。


■数量
・φ50mm*30mm円柱差し:量を重さを感んじてもらうために今までは手の上に円柱を重ねていたのですが、円柱が重ねても崩れてしまってうまくいかなかったので、今回は袋に入れて持って重さを感じてもらう取り組みにしました。一緒に円柱を袋に入れて、右手に袋の取っ手を引っ掛けると、肘を支点にして持ち上げながら重さを感じる様子が確認できました。2個までは持ち上げることができたのですが、3個は、一瞬持ち上げたところで取っ手が手から離れ落ちました。重さの違いと個数とを感じ取ってもらえたとお思います。その後は、筒に入れ量を高さで感じてもらい、次に穴が横一列に並んだはめ板で長さを感じてもらいました。高さを感じる時には筒のてっぺんに右手を一緒に置くと、自分で外側に手を開くような動きでてっぺんから手を離し机に手を落とす動作で、高さの違いを感じていました。横一列のはめ板は、右手を外に動かし、はめ板の上を滑らすように動かし、はめ板の端で手が机に落ちることで長さを感じ取っていました。どの場合も、援助なしに自分だけで教材に働きかける様子が確認できました。
・玉落とし:右手で天板を外に滑らす動きで球を落としながら長さを感じていました。
・円盤入れ:円盤を右手の動きで入れてもらいながら、「残り幾つ?」の質問もしました。「残りの穴の数は1個?2個?」と聞いていくと正解の時に声や
 体の動きや表情で合図を送ってくれることが多かったです。

■文字
・スライディングブロック:右手で行いました。引く動きは上手に自分でブロックを動かしていました。上方向へは、難しかったですが、肘が外側にいかないようにガイドすると何回か自分の動きが出てブロックを穴まで滑らすことが出来ていました。左右の動きで、苦手な左側(内側)に行く動きは胸当ての内側に自ら肘を入れて固定し、上手にブロックを動かしていました。どこを支点にすれば良いのか自分で工夫していて素晴らしかったです。これもボコボコチェーンミニの成果かもしれません。自分の体の動きが思った方向に行けば、上下左右という机上の基本的な空間イメージを比較的楽に作ることが出来ます


・立体コピーなぞり:今日はどの行を練習するか「あ行?か行?・・・」と聞いていくと「は行」のところで目を開く表情で合図をくれました。一緒に一通りなぞって、最後に私の手のひらに今取り組んだ文字のうち一文字だけ書いてもらいました。横棒を書く時にグッと指からの力を感じることが出来、それが二回あったので「ほ?」と聞くと何か不思議そうな表情をしたので、「は」と「ほ」の違いは横棒の数が違うことをもう一度確認すると腑に落ちた表情をしてくれました。本人は「は」を書きたかったようでした。

■ご家族より

久しぶりにやりたかった事がたくさん出来たようです。学びサポートが終わった後、とても満たされた顔で身体もリラックスしておりました。