視線入力/目と手の協応
担当:松本
<活動様子>
ご本人は前日から興奮気味でなかなか眠れず、朝も早く起きてしまいお会いした時にはウトウト状態でご両親も心配していました。ところが、視線入力の準備をしているとパッと目が覚めたようで視線入力だけでも90分近く集中して取り組んでいました。これだけ学びサポートの日を楽しみに待って頂けてありがたいです。襟を正しM君の学びを支えていきたいです。
■視線入力
・出かける前のチェックで本日もtobii4cをパソコンが認識してくれず、ドライバーのアンインストール→再インストールをして復帰しました。しかし、パソコンを再起動して試したら、まともや認識してくれずもう一度、ドライバーのアンインストール→再インストール。M君の前で同じことは繰り返せないのでパソコンsleep状態にして、tobii4cを抜いて出発しました。なんとか本番ではパソコンがtobii4cをバッチリ認識してくれました。windowsのアップデートのたびに何かしら不具合が起こりとっても不安定でなんとかしたいです。
・風船割り:久しぶりにpuyoのturn around(風船を見るとpuyoが振り向いて目が見える)に取り組みましたが、いまいち風船に視線が飛びません。やはり色がくすんでいてコントラストが低いのが原因だと思い、自作のハイコントラストの風船に切り替えたらよく見てくれました。
・Sensory 花火:sensoryシリーズは初めての挑戦でした。最初に間違えて花火がスタートしてしまいました。右半分に視線が集中していましたが、動く流れ星は見やすいようで何回か視線を重ねることができました。最後の方には右下の花火も打ち上げることができました。
・Sensory自動車:自動車が動いているので、見やすかったようです。視線は右側に集中していました。初めてでしたが、最低5分は取り組まなければいけないのでその時間の中で、徐々に自分でゲームのやり方を発見したようでした。
・Sensory玉弾き:玉が止まっているのと玉と背景とのコントラストが低いためで見にくようでした。最後の方には見ることで玉を弾きゴールに入れることを理解したようで、得点もしていました。視線は右側に集中していました。
・Sensory玉打ち:玉の色が鮮やかでしかも上からバスケットに向かって玉が転がってくるので見やすそうでした。右側に視線が集中していました。ダイナマイトと背景のコントラストが低いため気がつかない様子でした。
・Sensory玉転がし:玉の色が鮮やかで、背景とハイコントラストでしかも動いているのでとても見やすそうでした。右側の視線がよく動くいくつかの場所で玉を食い止める方略を発見したようでその場所に視線を集中させていました。5分間の中でも試行錯誤が見られ、風船割りとはまた違った同じ課題をじっくりやることの大切さを再確認しました。自分の得意な視線の動きでなんとか工夫している様子が随所に確認できました。
・Sensoryスナイパー夜:右に視線があるので右のほうにポインターが動いて結局1匹もpuyoを打てなかったのですがなんとか視線を中央のポインターの方へ向けようとしている様子が確認できました。このゲームに関しては、半盲や半側空間無視の方のことを考えるとポインターが左寄りや右寄りのバージョンもあれば良いと思いました。画面全体に視線が行くことが最終目標ですが、眼球運動の困難さもあるので最初は自分の得意な動きの範囲で十分に楽しめる工夫が必要だと思いました。手の運動も正中線に近づけるのが一つの目標ですが、以前私が教材を提供した方から、外側に開いた状態でもそこで十分活動することで徐々に手が正中線に近づいて来たと報告を受けたことがあります。目についても同じことが言えるのではないかと思います。
1匹も打てなくともやめることなく最後まで画面に真剣に視線を向けていました。途中でお母様が「通所先の施設の職員さんからM君はホラー映画が好きでよく見ていますと言われた。このゲームは、少しホラー映画の雰囲気と似ているかもしれない」と教えてくれました。確かにホラー映画は演出のため、刺激を焦点化している場面が多く、見やすくわかりやすいのかもしれません。
・Sensoryスナイパー昼:スナイパー夜に比べ、puyoが大きく1匹打つことができました。
・Sensory花火再び:スナイパーでなんとか中央に視線を向けようとしていた練習が功を奏し、流れ星も何回も見ることができ、中央の花火も挙げることができました。軌跡を確認すると最初のは、右だけに集中していた視線が中央の方まで伸びていました。スナイパー夜では、1匹も撃ち落とせなかったのですが、とても良い視線探索の練習になっていたようです。改めて見えない部分で確実に変化が起こっていると教えてもらいました。
・Sensoryは初めてでしたが、とても集中して取り組んでいました。同時にゲームの途中でと変えて欲しい時にははっきりと私の方に顔を向け声で知らせてくれました。視対象が動いていること、ハイコントラストであることが見やすい条件だとM君が改めて教えてくれました。これは、中枢性視覚障害(CVI)の特徴です。中枢性視覚障害(CVI)は、楽しく見ることで改善されていくといわれています。
■目と手の協応
・手元モニターをセットして開始しました。視線入力にたっぷり時間をとったので、課題に少しだけ取り組みました。
・ボコボコチェーン:右手で最後のひと引きを力強くしてくれました。
・ボコボコチェーンミニ:左手に握り、右手でチェーンを引くように設定しまた。両手を工夫してなんとかチェーンを抜こうとしていたのですが最後のチェーン3粒ぐらいがどうしても引けなかったので、右手の肘を机のストッパーから逃がすのを手伝うとそこから首まで使ってチェーンを抜き切りました。
・スライディングブロック:上下左右の動きを練習しました。下に引く動きは、自分一人で、そのほかの動きは肘をガイドしながら目的の方向に自分で手が動かせるようにして取り組みました。なんとかブロックを穴の方へ動かそうとする意思が、はっきり伝わって来ました。