Saturday 21 Mar. 2026 HT

音楽

担当:石橋

■活動の様子
今回伺った時、驚いたのはなんとキイボードが一台増えていたことでした。
実は、前回の活動の終盤で、Tさんの弾いていた電気ピアノの音が部分的に出なくなってきて、もしかしたら鍵盤と鍵盤の間にヨダレが落ちて接触部分に支障が出たのかもしれないとのことだったので、乾けば大丈夫かもしれないから様子を見ましょうとなっていましたところが翌日、完全に音が出なくなってしまったそうで、修理に出そうとしたら出来ないとのこと。結局Tさんの誕生日も近かったので、プレゼントとして頑張って新調して下さったそうでした。

前からTさんは、楽しいことがあったり何かに集中すると、よくヨダレをたくさん流す事がありましたが、まさかよりによって大切なピアノに、電子機器が壊れる程の影響を与えていたとは私もお母様も思いもよりませんでした。
これからは、楽しんでもらいながらも出来るだけ気を付ける様にしようと思います。それにしても直ぐ対応をして下さって感謝です。

ちょうどその日は、Tさんの誕生日の翌日だったので、まずはお母様と一緒にバースデ―ソングを歌いました。Tさんもこの曲は認識している様で嬉しそうでした。お母様が、Tさんが赤ちゃんの頃のお話も聞かせて下さったのですが、病院の先生から、この子は何を見せても聞かせても反応がないからと、いきなり視覚聴覚の損失を言われたそうです。
でもお母様は信じられなくて、ディズニー映画の音楽をオーケストラ編、ポップス編、ジャズ編とアレンジの違うCDをかたっぱしから聴かせてみたら、なんとジャズのサッチモの音にだけに反応したというのです。しかもそれに気づいたお母様が、サッチモ自身の演奏だけでなく、サッチモと一緒に演奏するミュージシャンや歌手のDVDをかけたら、食い入るように見て、聴いていたというのです。
結果「聴こえない・見えないじゃなくて、聴くべきもの・見るべきものを与えられてなかっただけ」というお母様の話は衝撃的で、何とも深い愛を感じました。
ある意味、身が引き締まる話ですが、それにしても、それまでジャズはほとんど聞いた事がなかったというお母様が、Tさんのお陰で音楽の世界が広がったとおっしゃるのは、素敵なことだなと思いました。

さてその新しい電気ピアノは、鍵盤を支える脚部を外して、生ピアノと少し離れた場所で並行に置かれていました。Tさんが椅子に座らなくてもペタンとカーペットに座ったまま、すぐに鍵盤に届く様にとの事だと思いますが、それに、もしもヨダレが溢れてきても、すぐに発見して拭くことができるという利点もあるでしょうか。
早速新しい電気ピアノに触ってみると、鍵盤の重さは、前のキーボードと同じように本物のピアノのタッチに近いものでした。
そしてお母様がピアノやオルガンやチェンバロだけでなく様々な打楽器まで鳴らして聞かせてくださいました。ただ、ピアノの中に入っているモデル曲は、前の方が良かったそうで、Tさんのお気に入り曲もあったのに残念です。

まずはとにかく一緒にセッションをしてみようと、私が生ピアノで弾き歌い始めると、しばらくジッと聴いてくれている様子ではありましたが、なかなか音を出そうとはしませんでした。私の真後ろにいるので、お互いの顔も手元も見えないし、音も今までとは少し違う所から聞こえてくるので、集中しにくいのかもしれません。それに低い位置で鍵盤を弾くのは慣れないと難しいかなと思っていたら、なんとお母様がTさんを抱っこして、ピアノの横の大きな椅子に座って、横から私を見える様にしてくれました。Tさんの右腕が鍵盤にも触れられる距離でもありました。そこで間奏とかエンディングにTさんの右手を取って、一緒に鍵盤の上の狙った音へ降ろしました。

Tさんは、その音の意味というか響きに共感した様で、例の嬉しい時のフリフリダンスを見せてくれました。続けて、曲を変えて何度も一緒に音を鳴らしてみたら、そのたびに興奮してフリフリダンスをしてくれました。
大きくなったTさんを膝の上に乗せるだけでも重いのに、フリフリダンスで落ちない様に支えるのは大変だったと思いますがお母様も一緒に楽しんで下さったようでした。こんなセッションもアリかなと思った次第です。

Tさんは、一度お母様の膝から降りると、今度は生ピアノのペダルが気になるらしく、ずっと鍵盤の下の音響版やペダルを、頭がくっつく程近くに寄って見ていました。そういえば前にも、同じことがありましたが、その時は、反響する音を聴いているのかなと思ったのですが、今回は表面がツルツルの所に移っている自分を見ている様にも見えました。どちらにしても、素敵な感性だと思います。

私が再び歌い始めると、今度は新しいピアノをやっと弾いてくれました。私からは見えなかったのですが、前の様に、音を探しながら単音で弾いていた様でした。Tさんがまた、いつの間にか木琴用のゴムのバチを持っていたので、今度こそ、どう使うのか教えてもらおうと思ったのですが、やはり音を出す所は見せてもらえませんでした。
今後は新しいピアノの位置や置き方も考えつつ、いろいろ試しながら一緒にセッションが出来たら良いなと思います