Saturday 16 May. 2026 HT

音楽

担当:石橋

■活動の様子
今回のTさんは、なんと私の顔を見てすぐに近づいてきて、いきなりフリフリダンスを見せてくれました。
私が喜んでいると、ピッタリくっついてきて何か話したそうでしたが、やる気満々の様子で早々と電気ピアノに向かいました。

さっそく私も生ピアノに向かい、Tさんのテーマソングの「ハロードリー」を弾き始めました。
急いでお母様が電気ピアノでオルガンの音をセットして下さって、「さあ、どうぞ。」とTさんを促して下さったのですが、何故か、なかなか弾こうとしません。

さっきまでと打って変わって急に興味がなくなった様なので、前回のようにミニピアノを譜面立ての前に立ててもらったら、いきなり勢いよく鍵盤を横にギュイ~ンと弾いて、一瞬音は出たものの、勢い余ってミニピアノが飛んで行ってしまいました。慌ててお母様がミニピアノを拾ってセットし直して下さったのですが、今度はミニピアノごとプイと払い落してしまいました。
珍しくワイルドな行動に驚いていたら、お母様が、Tさんのトイレタイムだと気が付いて、急遽トイレ休憩に。「こればかりは仕方がないね。」と言うことで、お母様がリクエストして下さったクリスマスソングをメドレーで何曲か歌いました。

Tさんがスッキリしたところで私がブルースを弾き始めると、自分でピアノの右手側にある背もたれのあるイスに向かって移動し始めました。
Tさんは一人では椅子に座れないので、お母様が抱っこしようとするとなぜか嫌がっていた様子でした。

私はそのままブルースを弾いていたのですが、「Tさんの好きな時に好きな音を出していいよ。」と言っていたら、ピアノの右横からそっと手を伸ばすとピロッと弾いてくれました。
でも、その時だけ音を出したかと思えば、その後はずっと聴いているだけでした。

しかも首を伸ばして集中して聴いている様子だったのでお母様が気が付いて、Tさんと同じ様にピアノの横面に頭を近づけると、急に音が変わるところがあるとのこと。それを聞いて、お母様に音を出していただきながら私も確かめてみたら、なるほど、一定の場所で急に大きく鳴り出しました。Tさんはそのポイントで聴くと音の響きが良くなることを発見したのかもしれません。
そういえばピアノの鍵盤の下の共鳴板の前でも、座り込んだまま同じように、ずっと動かないで音を聴いていたことがありました。

この後も、ブルースを何曲か延々と弾き歌っていたのですが、Tさんはジッと集中して聴いているだけで自分からは弾こうとしませんでした。
ただ、長い演奏が終わった後で、私がお母様と話し始めたら、例の黄色いゴムのバチを握り締めた手を一定の間隔で上下するポーズを、何度も何度も繰り返していました。
しかもその後バチを離すと、踊るように暫く体をリズミカルに一人で集中して動かしていました。
これは初めて見る反応でした。頭の中で音を反芻しているのかもしれません。

ブルースの12小節の果てしないくり返しは、一度ハマると癖になる魔法みたいなものですが、もしかしたらTさんも魔法にかかったのかもと、ちょっと嬉しくなりました。

いつものようにお母様が「今日は楽しかったヒト~?」と聞くと、Tさんはゆっくりと手を上げてくれましたが、その後で指先を素早く滑らせるような動作を繰り返して、それを見つけたお母様がビックリされていました。こんなに指先が細かく早く動くことを発見して、私も驚いた次第です。

いつかTさんが、ブルースをジッと聴くだけでなく、音やダンスでガンガン一緒に参加してくれたら素敵だなと思いました。