Friday 20 Sep. 2025 HT

音楽

担当:石橋

■活動の様子
久しぶりに会うTさんは少し体が大きくなって、表情も大人っぽくなっていました。覚えていてくれるかなと思っていたら、ピアノの前で待っていてくれました。

ご挨拶をして早速、リクエストされていたTさんのお気に入りの「ハロードリー」を弾いてみました。すると、久しぶりだったからか、いきなりピアノの下にもぐってしまいました。鍵盤の下で響板の響くところを自分で探して、ジッとピアノの音を聴いています。

そういえば最初の頃は、よく鍵盤の下にもぐって音を聴いていたことを思い出しました。そこで、ちょっと賑やかなリズムのある曲をと、「五匹のこぶたとチャールストン」や「ブルースぞうさん」「As time goes by」を歌ってみました。
ずっと聴いてくれていたようなのですが、「そろそろ弾いてみる?」と、あらためてお母さんが私の横に座らせてくれました。

もう一度、「ハロードリー」を弾いてみると、ご機嫌の時に出るフリフリダンスをちょっとだけ見せてくれました。でもそれからTさんは、また固まったようにジッと聴いているだけでした。お母さんが、「弾かないの?」と勧めても、何かを考えているようにジッとしています。

何度も何度も繰り返すうちに、ついにTさんがピロッ、チョロッと鍵盤に触れて音が出てきました。そして、「こんな感じだったっけ?」と言う風に、首をひねってこちらを見てきました。
「あ、音が出て来たね。いいね!」と言うと、すぐにまた椅子を降りて、今度は電子ピアノの方に移ろうとしたので、それを察知したお母さんがTさんを電子ピアノの前に座らせてくれました。

いつものようにTさんが自分でボタンを押しながら、初めは音色が決まらなくて、クラヴィノーバやオルガンの音が出たかと思うと、いきなり模範演奏が始まったりしました。やっとピアノの音が決まったかと思うと、今度はキーボードを抱えるようにしてお腹で鍵盤を弾いていました。
これは、今までもよくありましたが、今回はオルガンのように伸びる音ではなかったので、すぐに音は消えていきました。

私がクリスマスソングを弾き出すと、またジッと聴きながら何かを考えている様子でしたが、まるで自分で音を出す時の位置やタイミングを考えているようでした。
そのうち鍵盤の上にチョロッと手を乗せて、少しづつ遠慮がちに音を出してくれました。今度は、自分の音と私の音を同時に聴いている様子でした。
そして鍵盤に手を置きながら顔だけをこちらに向けて、「どう?これ、どう?」と言うふうに私を見ています。「ああ、これがやりたかったんだな」と思うと同時に、私も待ってましたとばかり顔を90度まげてTさんの方へ向けながら、「いいね~!」と何度も頷きながら演奏を続けました。

音数は少ないけれど、決して邪魔をする音ではなく、Tさんなりに選んだ音を出している気がしました。お互いに顔を見合わせながら楽器を演奏することが、一緒に音楽を創り出していくようで、何より、この感覚を覚えていてくれたことが嬉しかったです。

時間が空いてしまったけれど、前回思いがけずに一緒にセッションが出来たことは、やはり奇跡や偶然ではなかったと思えて、これからの可能性を改めて感じました。

いろんなクリスマスソングを歌って、そろそろ終わろうとした時、いつの間にかTさんが背中を寄せてきて、ピッタリ私に寄り添うようにしてくれました。前半は反応が分からなくて心配したけど、楽しんでくれたようでホッとしました。

最後に、「ピンクパンサー」のテーマを弾いて欲しいとリクエストがあったのですが、上手く弾けなくてゴメンナサイ。次回までにおさらいしておきます。いつもながらお母さんのサポートに感謝です。ありがとうございました。