音楽
担当:石橋
初めての訪問で少し緊張していましたが、お母様が温かく迎えて下さり、まずはT君とご挨拶。
T君は、早速お気に入りのCDとDVDを次々と引っ張り出し、手首を器用に折り曲げてCDを挟み、私に見せてくれました。
その内容はと言うと、まだCDやDVDもなかった60年代の録音や録画を焼き直した復刻盤で、どれもジャズやポップスの名盤ばかり。
これを、1歳数カ月の頃から好んで聴いていたというのですから、なんと早熟な赤ちゃんだった事でしょう。
リビングには生ピアノと電気ピアノと小さい電子ピアノがあり、早速生ピアノでMoon river と It’s only a paper moonを歌ったら、T君がとても興味を示してくれた様で、近くに寄ってきて聴いてくれました。
「T君はピアノが好きなんですね。」と言ったら、お母様が、T君が電気ピアノを弾く動画を見せてくださいました。
音色や音質を変えられる電気ピアノで、オルガンの様に伸びる音にして、T君が体を押し付けたり、手の甲であちこち鍵盤を押して前衛的な音を出していました。
押せば鳴るという鍵盤楽器の仕組みを知っている様子で、音が出る事を楽しんでいる様子でした。
それではと、そのまま生ピアノで、早速アップテンポのブルースを弾きながらブルースセッションにトライしてみました。
お母様に促されて、最初は遠慮がちに鍵盤に手を落としていましたが、そのうち前のめりに体を押し付けたり、手の甲や肘で押したりと、夢中でピアノを楽しんでいる様子でした。
途中から、お母様も参加して3人でピアノセッションとなり、いきなり盛り上がってしまいました。
お母様が、「いつか親子でも連弾出来たら。」との事。譜面が読める方なので、二人でブルースセッションが出来る様に、左手のベースの音を、次回譜面に書いてくる事にしました。
基本的にジャズが好きだそうですが、季節の日本語の曲も聞いて欲しくて、「旅愁」を歌いました。
この曲はアメリカ生まれで、明治時代に輸入して訳詞を付け、中学の音楽の教科書に載って以来100年以上も世代を超えて親しまれている曲です。
実はその後中国にも伝わって中国語の訳詞が付けられ、なんと国民的歌曲となったそうですが、現在アメリカでは知っている人もほとんどいない曲だとか。
T君も聞いたことはある曲だそうですが、不思議な生い立ちの曲に興味を持って聞いてくれた様でした。
もう1曲日本語曲として、「ちびまる子ちゃん」にハナオ君が登場するとゲラゲラ笑うとの事で、「踊るぽんぽこりん」も。お母様が手拍子で参加して下さいました。
それから「真夏の世のジャズ」で、マヘリヤ・ジャクソンが歌った「ダニーボーイ」や、サッチモの「ワンダフルワールド」や「星に願いを」他、スタンダードを何曲か聞いて頂きました。「Smile」では、次回はお母様が一緒に歌って下さるかも知れないとの事、楽しみです。
今回、小さいピアノは使わなかったのですが、床の柔らかいマットの上に出してお話していたらT君が近寄って来て、私の腕に寄りかかってくれました。嬉しくて、反対の手で背中をさすっていると、そのまま暫くピッタリと寄り添ってくれました。ビックリするやら嬉しいやらでしたが、音楽の好みも似ている様なので、これからいろんな曲を練習して、一緒に楽しめるようにしたいと思います。