Tuesday 30 November 2021(ON)

最新の音楽情報 ボイスコミックについて 数学「正負の数」 iPadのアクセスビリティ・スイッチコントロールを使った操作について

 

担当 奥山

【活動の様子】

 

外の様子についてお話したあとで、今日の学習の予定についてお話ししました。

最初に最新の音楽情報をお届けしながら0Nさんの手足に触れました。最初の音楽は「INI」。男子11人のアイドルユニットの「Rocketeer」は「これじゃない」ようでした。次のNiziUの「Chopstick」には少し表情が和らぎましたが、奥山がONさんの眉間からは「早く数学やろう」という気持ちが伝わってきました。数学に移る前にボイスコミック「ヤンキーくんと白杖ガール」について説明。今日お渡ししたSDカードの中に他のボイスコミックも入っていると説明しました。

やっと数学。今までは減法の繰り下がりの仕組みをiPadの画面上で確認しながら学習を進めていました。最初に前回の振り返り。隣の桁から10や100を「借りてくる」様子を画面上の動きで示しながら確認しました。さっきまでとONさんの目の力が違います。本当に数学が好きなんだね。

正負の数の導入は、数直線上では今まで「できなかった」とされていた例えば「2−5」の減法が成り立つことを確認していきました。ONさんの目の力は強いまま。次に数直線を使わなくても2つの数の差を考えた後にマイナスをつければ計算が成り立つことを確かめて行きました。このあたりからONさんの目に動きを感じました。言語化すると「さっさと先に進んで欲しい」。ごめんなさいONさん、今日作ってきたのはここまでです。次回は今までの縦書きの繰り下がりのある筆算に「正負の数」の考え方を反映したものをONさんに示す予定です。学校に勤めていた時は教科書をいくらでも閲覧することができたのですが、退職して「手元に教科書がないや」と不便さを感じています。

ONさんの数学に対する興味を知ったのは、ONさんが中学生になったときに「中学生の数学で出てくることば」というテーマでKeynote教材でことばに対応したイメージをお知らせしたことがきっかけでした。尋ねる機会がなければ数学に対するONさんの思いを知ることはできなかったと思っています。

学校教育では「理解を確かめることができたら次に進む」というアプローチに強い思いがあるように感じているのですが、タイミングのよいコミュニケーションで大きな困難さに直面しているお子さんに関しては、確かめる過程は気にせず(気になるだろうけども)何に興味があるということを教えてもらいながら学習内容を組み立てていくということに大きな価値を感じています。

次に学校で配ったiPadを何とか使えないか作戦です。GIGAスクール構想を前倒しして東京都から配られたiPadがご家庭では活躍する場が今のところとても少ないことへの対策です。活躍できない原因はアプリを決め打ちでインストールしたことと、無料アプリであっても合理的配慮のための新規インストールが今のところできないためです。サピエ図書館へのアクセスや見ることを支援するシステムの利用、コミュニケーションボードの活用等、どれも不可でした。

最近「しゃべるんです」という無料の絵カードVOCA (Voice Output Communication Aid)アプリが最高に使いやすいことがわかり、「ひなぎく」「のじぎく」作者のアプリでもあるので東京都iPadにはインストールされているに違いないと思い、今日ONさんのiPadを確かめたら残念ながら入っていませんでした。ONさんは右足や左親指でスイッチを操作することが上達しているので、外部BluetoothスイッチコネクタとスイッチをiPadの「アクセスビリティースイッチコントロール」でカードをスキャンして「突っ込みメッセージ」を使えるようにしようと考えたのです。この「計画」は実はKMさんからいただいた宿題なのですが、「必要は発明の母」で勉強を深める大きなモチベーションをいただいて感謝です。

そこで奥山のiPadの「しゃべるんです」を操作してみました。鉄ちゃんのONさんのために「出発進行」「なんでやねん」「マジか!」「数学やりてぇ」「見たいぜ」「ひまだー」の6枚の音声付きカードで構成して提示しました。何度かカードを選んで音声を出してみて、またONさんの瞳に「注文」を読み取りました。「しゃべるんです」だけじゃなくてもっと操作できないのか?!と受け止めました。

ここで、そういうオファーなのであればONさんの東京都iPadが活躍できると思い、iPadのスイッチコントロールを設定することにしました。設定や操作の概要をお母様にお伝えしながら進めていたのですけど、ONさんがよーく聞き耳を立てている様子が伝わってきました。

東京都iPadにはYouTubeもインストールされていないのですが、ブラウザでYouTubeを開いておいて、履歴にONさんが好きなコンテンツを入れておけば、履歴にたどり着いて最終的に好きな動画を自力で閲覧できるかもしれないという流れです。一見すると遠大な構想ですがONさんは今まで数々の遠大に思えることに突き進んでこられたので、そういう意味では最初の設定としては適切かもしれません。

そして奥山のiPadに戻ってONさんの大好きな鉄道運転シミュレーションゲームSENSIMで締めようと思ったところ、スイッチコントロールを触りすぎてSENSIM用のレシピを作るところまで辿り着かずに時間になってしまいました。ONさんには平謝り。次回にはたっぷり運転の時間をとることを約束しました。

(今回は写真を撮り忘れてしまいました)