Wednesday 13 Sept 2023 OK

音楽

担当:石橋

■活動の様子
 実は前回、「次は秋になっているだろうから『赤鬼と青鬼のタンゴ』を!」とリクエストされていたので、まずは「秋風の、忘れ物、夕焼けピーヒャララ~」と歌いましたが、まだ少し暑い日だったので今一つの様子。。。それより今回は、K君が声を出せるような曲をとのことで、「線路は続くよ何処までも」で「ぽっぽ~」とか、「大きなカブ」で「よ~いしょ、よいしょ!」などの合いの手が入る歌を歌いました。
 また、久しぶりに、「We will rock you」も。この曲は、お母様がたまにCDをかけるとK君も一緒に聴いているようなのですが、あまり好みではなさそうとのこと。でも歌ってみると、Kくんも少し声が出たようで嬉しかったです。

 リズムのある曲の時は、自然にゴーヤ型のシェーカーを持って鳴らしてくれるのですが、そういえば、他の打楽器には触ろうとはしませんでした。持ちやすさや音の好みもあるのでしょうか。前にご家族でオーケストラのコンサートを観た時には、ホルンやバイオリン、ティンパニなどの楽器に興味を示していたとのことでしたが、残念ながらミニピアノには興味はないようでした。
 ただ、本格的なクラシックの楽器はないものの、ミニピアノでいろいろな楽器の音だけは出せることを毎回聴いていただいていたので、何気なくK君の前にミニピアノを置いてみたら、珍しく嫌がらずに見ています。
「弾いてみる?」と言うと、ヘルパーさんがK君の手を取って左の方の鍵盤に軽く置いてくれました。すると、いきなり伸びる音で不協和音が混じっているけれど、はっきりと短調の和音が出てきました。K君はちょっと驚いたようでしたが、手を鍵盤に乗せたまま、ジッと音を聴いているようでした。

 そこで、とっさに「アランフェス協奏曲」のメロディを、ミニピアノの右半分の高音で弾いてみました。K君との初めての連弾がアランフェスとは、我ながら思いがけない展開でしたが、K君は興味を持ってくれたようでした。お母様がすぐに「あ、アランフェス協奏曲!」と言ってくれたので、K君も、きっと聞いたことがあったのだと思います。そのまま、ずっと手を上げなかったので、気に入ったのかもしれないと思い、何度もアランフェスを弾いてみました。

 やっとK君が手を上げたので、今のはオルガンの音で、押さえている限りずっと音が伸び続ける楽器の性質を持っていることを伝えました。いつもは、音が消えていくピアノの音を使っていることを伝えて、楽器により音が伸びるか伸びないかで聞こえてくる印象が違うよねと話しました。

 興味を持ってくれたようなので、ピアノの説明を。まず鍵盤を見て貰って,黒鍵と白鍵があること。黒鍵は2本並んでいる所と3本並んでいる所があること。2本並んでる左側の白鍵が「ド」、そこから順番にドレミファソラシドが並んでいること。「ドレミの歌」を知ってるK君には、直ぐにピンときたようでした。
 K君の右手の長い人差し指を伸ばしたまま、私がその手を持って「ここがド」と順番にゆっくりド・レ・ミ・ファ・ソとK君の人差し指で鍵盤を押していきました。

 興味が出てきたようなので、K君の大好きなメドレーに挑戦してみました。例の「小さな世界~ジングルベル」です。K君の手を持って弾き始めると、時々肘が強張ってスムーズに移動できない時もありましたが、引っかかりながらもK君は、自分で肘や指の角度をすぐに直して、最後まで一緒に弾くことが出来ました。時々、声を上げながら、自分の指先から音が出てくる感覚を味わっているようでした。

 楽しくなってきたみたいなので、今度は一人でドレミが弾けるようになるように練習してみました。というのも、K君は文字盤が使えるので、人差し指で鍵盤を移動することは可能かもしれないと思ったからです。まずドの位置にK君の人差し指を乗せて、自分でグッと下に押してもらいました。次に押した鍵盤の底にあるK君の人差し指を私が持って、下に押したまま谷底の左端から右端まで動かして鍵盤の広さや幅を感じてもらいました。それから今度は鍵盤の底の右側にグッと寄せて行きます。そして、これ以上右へ行けないことを確認して、その感覚をしっかり覚えてもらってから、スッと上に抜いてすぐ隣の鍵盤に降ろすとレの音が出ます。
 同じように、グッと押したら、グッと右へ寄せて、スッと上に抜いて、すぐ隣を押すとミが出ます。下に降ろす感覚と右横に寄せる感覚を指先で覚えたら、正確に一音一音出していけるのではないかと思ったので、一音ごとに「その感覚を覚えておいてね。」と言いながら、ドからドまでの1オクターブをゆっくり一緒に弾いてみました。

 さてそれから、一人でもやってみますか、となり、K君はやる気満々で一人で弾き始めました。私は、「グッと押したらグッと右側に寄せて、そうそう。そしたらサッと上に抜いてすぐ横の鍵盤を押す。」と、横から応援をするだけでしたが、見る間に目の前で、一音一音、K君が初めて自分でドレミを正確に一つ一つ弾いています。驚いていたら、なんと完璧に最後まで一人で弾いてしまいました。驚きと共に、「ヤッタ~!スゴイ、スゴ~イ!」と、お母様とヘルパーさんと私とで大盛り上がりでした。やはり文字盤を使っているせいか、指先の間隔が鋭いのかもしれません。
 K君の新しい才能を発見したみたいで、楽しみがまた一つ増えて嬉しいです。