コミュニケーション/操作/文字
■活動の様子 久しぶりに父同席のためか、来所時より興奮した様子でかなり緊張が強い様子でした。右手が固定されていると左手指の操作が安定することから、隣に座っているお母様が右手を握った状態で実施しました。 挨拶のためVOCAを提示するとVOCAを操作しようという意欲があったのですが、緊張が強かったためVOCAの位置を上肢に合わせて調整しました。 絵カードの1/2選択では目前にやや離して2枚提示し、アイポイントでの選択を促しました。左方への視線の移動や定位が多かったです。正答は約50%でした。 次に繰り返しのある絵本読み。「あけて あけて この箱あけて」と録音し、箱の絵のページでVOCAを操作して読む活動を提示しました。関心が高く、操作のタイミングが早かったですが意欲的に取り組んでいました。 方向性のある連続的な(線)操作を狙いにした、スライド式ピンポンスイッチでは、始点への定位良好で、終点の理解もあり、方向性のイメージを持って動かしていました。持ち替えをしようとする時に、バーが手に引っかかり反対方向に戻ることが何度かみられました。 上記の活動の操作が良好であったことから次のステップへ。方向性のある動き書字へのステップとしてスライディングブロックL字カーブに取り組みました。始点の半球への定位も終点へのラインのイメージも良好でした。来室当初よりも情緒的に落ち着き、緊張も軽減したためイメージした動きができている印象でした。カーブは止まらずに進んでいました。 次にL字直角。カーブで経験したためか、直角部分で方向を変える見通しを持っている様子でした。 どんどん行きます。続いて動くドーナツパーツ入り絵本。人差し指を出すことができ、肘を屈曲した状態で拳を支えると、操作性が向上しました。本の位置を調節してドーナツの穴に指を入れると、自ら動かしていました。本人の動きと本を支持する介助者の援助により成功体験を積むことができました。 次に、ひらがな凸印刷カード「つ」なぞり。提示の後、すぐにトライしようとしていました。拳を支えている介助者によると、上肢の動きの方向性が明確に感じられるとのこと。そして、クレヨンによる書字。クレヨンを使用してガイド。今後、指に連動するような筆記具を探すことが宿題となりました。お母様は、指筆のトライを考えたことがあるそうです。毛の部分を改造すると良いかもしれません。 大きな運動で、字形イメージを作って、実際に書くときは自身の可動域にあわせた大きさで取り組むと良いと思います。