Saturday 9 Sept 2023 HT

音楽

担当:石橋

■活動の様子
 毎回、その日の様子を撮った写真をお母様が送って下さるのですが、実は、前回終わった直後にお母様が送って下さった動画を見てビックリしました。その動画では、T君がピアノの前の床に座っていて、左半身をピアノの椅子に寄りかかったまま、右手を上げてピアノの蓋の上を触っていました。弾きたそうにしていたのでお母様がピアノの蓋を開けてあげると、なんと自分で鍵盤を触りながら、ド、ミ、そして1オクターブ上のミと、一音一音濁ることなく出していたのです。
 つまり鍵盤の上に、単音で一つ一つ自分で指を落としていけることを発見!
ピアノの椅子に座った状態では、手のひらが体の外側に向いているので、腕を横に曲げたまま指を真下に降ろすのは難しそうでしたが、床に座った状態で腕を伸ばしたら、ちょうど掌が下に向いて指先が鍵盤の上に降ろしやすいのではないかと思えました。鍵盤の位置を覚えたら、自分でメロディーを弾けるかもしれないと、興奮気味に動画を何度も見ながら、T君が自分の意志でピアノを弾ける可能性を強く感じた次第です。

 とはいえ、床に座ったままだと鍵盤の位置を確認できないかもしれないので、ギリギリ白鍵と黒鍵が横からでも見える高さの、厚めのクッションか小さい椅子でもあれば良いだろうか、などとあれこれ考えつつ、今回楽しみにやってきました。
 最初はピアノの椅子に横に並んで座り、ラブミ―テンダーをゆっくり聴いてもらいながら、あわよくば鍵盤の位置を確認してもらおうかなと思っていたのですが、なんとも残念なことに、ピアノを一緒に弾くどころか、すぐに椅子から降りてしまいました。低い所から、手を伸ばして鍵盤を弾くことにもチャレンジしたかったのですが、残念ながら、まるで関心がない様子でした。

 もしかしたら、こちらがT君にピアノを弾いて欲しくて、焦りすぎていたのかもしれません。前にもお母様が仰っていましたが、誘導しようとすると、それを察してやる気をなくすようでした。

 この日は、たまたま少し疲れている様子とのことでしたので、体調のせいもあるかもと、T君の大好きなクリスマスソングを何曲か聴いていただきました。少し楽しんでもらえたようでしたが、T君が突然、何処かへ行こうとしたので驚いたら、「もしかしたら、さっき見ていたアレを見せたいの?」と、T君の気持ちを察したお母様が1冊の本を持ってきてくれました。
それは、いかにも「お気に入り」で使い古した感じの、いわゆる「音が出る絵本」でした。中には子ども用の曲が数曲入っていて、片方のページにある大きなスイッチを押すと、音楽が流れてくる仕掛けの絵本です。
 早速スイッチを自分で押して、T君が中の曲を聴かせてくれました
「イヌのお巡りさん」「アイアイ」「さんぽ」など、どれも耳馴染みのある子ども向けの名曲ばかりで、私も合わせて一緒に歌いました
中でも、「おつかいありさん」が大好きらしく、目をつぶって上半身をフリフリ揺すって楽しい感情を表してくれました。
 お母様によると、赤ちゃんの時に抱っこしてオデコをツンツンしながら「あっちいってチョンチョン こっちきてチョン」と歌うと、とても喜んだとのこと。
今までサッチモ関連のジャズしか聴かないのかと思っていたら、ちゃんと赤ちゃんの頃の幸せな経験と記憶もあることに安心した次第です。T君の大好きなサッチモだって、赤ちゃんの頃はお母さんの子守歌を聴いていたのではないでしょうか。

 今回は、この話が聞けただけでも良かったなと思ったら、T君が今度は電気ピアノの前に行って何かを待っている様子なので、お母様が急いで電源を入れると、いきなり自動演奏でショパンの「幻想即興曲」が流れ出しました。すると、これにも上半身をフリフリして「嬉しい楽しいのダンス」を見せてくれました。
そういえば、ショパンもこの曲だけはお気に入りとのことで、本当に幅広い音楽の聴き方を知っているT君に、改めて脱帽した次第です

 次回は、もし興味を持ってくれたら、腕を上に上げるだけでなく、前にも伸ばして、鍵盤を見ながら一つ一つ音を出すことにも挑戦出来たらと思います。

Saturday 30 Sept 2023 OK

目と手の協応/分数

担当:松本

◾️活動の様子

・目と手の協応:ボコボコチェーン引きからスタートしました。左手で輪を引っ張った後に右手にチェーンが触れるように誘うとチェーンを右手でつかみ引き抜いていました。チェーンの先を左手人差し指で一緒に穴に押し込みチェーンを戻し、蓋を一緒に取って逆側からチェーンを引き、プラスチック容器にチェーンを戻し、蓋の四隅を一緒に閉じて片付けました。次にアルミ円盤はめに取り組みました。3個直線配列、4個面配列、5個面配列の順に進めました。今日は実際に指で穴を数えて確認することが多かったです。

・分数:今日は分母分子に同じ数をかけても元の分数と同じになることを学びました。最初に掛け算の2の段を復習しました。2個穴の円盤はめで掛け算の意味を復習し、Goodnote 5で練習問題をペンシルを握った左手を支えながら解いていきました。文章問題まで全問正解したので、1/2、1/3、1/4を板の教具で復習し1/2、2/4を重ねるとピッタリ重なり同じであることを確認しました。

次にiPadのGoodnote5をホワイトボードがわりにしながら、1/2と2/4を並べて書き分子の1に何をかけたら2、分母の2に何をかけたら4になるか聞きました。それぞれ2と答えたので分母と分子に同じ数をかけても元の分数と同じ分数になることを確認しました。

納得している様子でした。

次回は、1/2の木の板を二つに切って2/4になること、実は1=2/2をかけているだけだから元の分数と変わらないことを確かめたいです。

Saturday 30 Sept 2023 FK

目と手の協応/ひらがな/漢字

担当:松本

■活動の様子

・目と手の協応:ステップバステップを一緒に押して初めの挨拶をしました。ボコボコチェーンは左手から始めました。こちらで、引っ張ったり、揺らしたりして誘うと、自分の動き最後のひと引きをして、チェーンを抜ききっていました。

 大きな発作があり、その後覚醒が落ちたのですが、ボコボコチェーンミニに教材を変えて、両手に設置し一緒に介助しながら引っ張ることを繰り返し行い働きかけました。途中1回ですが自分で引き抜く事がありました。次に玉落としを左手に設置、なかなかいつもの手首を動かして落とす動きがなかったのですが、介助しながら一緒に玉を落としました。覚醒が徐々に上がってきたので、人差し指の指先を鉄球の上に置き待つと、押し入れる動きが何回か見られました。入れた後も穴に指を入れて入った玉を確認するような動きもありました。自分で入れた時も、手伝ってもらって入れた時も、表情で、ああ今入ったんだと実感していることを伝えてくれました。最後のスライディングブロックでは、完全に目が覚めて左手で引く動き、右に滑らす動きは、すぐに自分だけでできていました。左は難しかったので一緒にやりましたが、最難関の上に押す動きは、設置してしばらく待つと手が動き出し、それでもなかなか穴までブロックを滑らす事ができなかったのですが、繰り返し少しずつ動かし入れる事ができました。次回は、距離の短いスライディングブロックを用意して取り組みたいです。

・ひらがな:今日は、木枠の文字盤でどの行を練習するか聞いていくと、「た行」で指に力がはえりました。お母様が「泊まる」と伝えたいの?というと表情と頭を動かしてそうだと伝えてくれました。近日中に初めてのレスパイト外泊をするとのことでした。外泊の話になると緊張と期待で何かソワソワしている様子が見られました。

 今日は、アームにつけた書見台で「凸文字をなぞる」→「支援人の手のひらに書く指で書く」→「ブギーボードに書く」の順番で行いました。ブギーボードは、お母様が福祉機器展で見つけた鉛筆につける持ち手をつけて行いました。握りやすそうでした。所々自分お動きを伝えてくれて、覚醒も良かったです。

・漢字:外国人用の教材を参考に漢字学習に取り組みました。とても興味があるようで提示した凸文字をじっと見ていました。凸文字なぞりの後に、まとめプリントもiPadに取り込んでペンシルを一緒に持ちながら行いました。漢数字1から3は線の数と数字が一致しているのに、4から上が全く別の形なのに興味を持ったようでした4を紹介するとハッとした驚いたような表情をしていました。

 最後は、スライドスイッチとステップバイステップを繋いで待つと左手をスライドさせ終わりの挨拶ができました。

Saturday 2 Sept 2023 TS

操作/コミュニケーション

■活動の様子

・遊具・教材(目的):子どもの様子

・VOCA①チャットBOX+ミニスイッチ(あいさつチャットBOXの操作負担を軽減する方法の検討):モデル提示の後、すぐにスイッチを操作しました。ONはすぐに+でしたが、次のキーへの移行には、一度OFF(スイッチから手を離す)にする必要があり、上肢の調整に努力している様子でした。次第に理解して操作が向上しました。Oneスイッチ操作により、「お父さん」「お母さん」「松本先生」「小山先生」「元気ですか」「これから個別を始めます」出欠席をとり→健康確認→あいさつをしました。

・持ち手リング付きチェーン引き(両手操作を促す):リングに上肢を通す援助をすると、一方を固定して引き抜く動きが出ました。

・ヤクルト型棒抜き→缶(把持→意図的リリース):ヤクルト型立体にリーチし、突起部分に指をかけて抜きました。前回よりも操作性が向上しました。大人が缶を近づけることでリリースも上手にデッキました。

・だ円体棒抜き→一穴形態箱(把持→穴への調整):部分的な援助で立体を把持し、棒から抜く動き+大人の棒操作で抜くことをしました。形態箱の1穴への意識は明確で、調整していました。立体の角度に大人がやや位置を合わせることで入れられました。

・溝板+金属円盤(方向性のある操作):虹形は方向性の理解はありましたが、操作に苦労していました。後方からの定位への援助により動きが出ていました。終点への見通しがありました。直線は2~3回の試行で動かしました。最後は指先で終点に入れました。

・ipad教材の試行(ひらがな「さ」「と」描画、書字経験):手指での操作意欲がありトライしました。介助付きで実施しました。指の腹部分でのタッチ操作が難しく、爪の部分が当たるために作動しないことが多かったです。

・ブギーボード(「さ」「と」「な」):前回の活動を覚えており、期待感が伝わってきました。人差し指を出すことはでき、介助付きにて実施しました。「な」は、難しいことと、疲れに配慮しようとするも、本児からのリクエストにより書いて終了しました。

Saturday 2 Sept 2023 MH

操作/コミュニケーション

■活動の様子

・遊具・教材(目的):子どもの様子

・VOCA:チャットBOX+ミニスイッチ(あいさつ、Oneスイッチ操作による表出):初めてのVOCAを紹介し、モデル提示しました。すぐに操作を開始していました。「お父さん」「お母さん」「松本先生」「小山先生」「元気ですか」「これから個別を始めます」の表出。大人の反応をよく見ていました。

・木製リング付きチェーン(両手による操作を促す):リングを押さえるような動きが出ましたがパワーが弱く、把持は難しいようでした。リングを引きながらも、物→口が頻繁していました。。※歯が生え替わっており、本日はカミカミが多い。

・方向性のあるピンポンスイッチ縦置き・横置き(方向性のある上肢操作、腕を引く動きを促す):肘を後方に下げる動きを他動的に繰り返すウォーミングUPから始めるました。中央付近の立体上へのガイド。試行中にやや関心が途切れる様子が見られました。2~3試行にてON。腕を引く動きは、連続的ではなかったですが、出ていました。

・銀玉落とし・3穴横置き(押し落とす連続した操作):すぐに玉に定位して落としていました。穴を触る時間がこれまでよりも長かったです。物→口の増加により、感覚的なニーズ拡大したのかもしれません。かなり待ちつつ部分的に援助することで3玉落としました。

・銀玉落とし・3穴垂直置き(空間認知):前回試行を覚えている様子で、すぐにリーチして落としていました。やはり穴への探索が多かったです。ガイドで複数の玉を落としました。本日は、落とす方向へのプッシュ見られました。

・銀玉のせ2凹台<新>(定位意図的リリース):四角トレーから銀玉を取ることはできました。把持し続けた後、内側に傾けた時、玉の重さで手首が返りました。台の位置を少し調整するのみで凹の上に乗りました。

・回転オルゴール(連続的操作):持ち手に触り続けることができていました。台を動かすことで半回転することがありました。

Sunday 24 Sept 2023 FKK

目と手の協応/スイッチ操作/文字

担当:松本

◾️活動の様子

 眠りが深かかったので、ステップバイステップに繋いだスライドスイッチを一緒に操作してはじまりに挨拶をしました。

 ボコボコチェーンや玉落としのなどの課題に取り組んでみましたが、覚醒が上がらなかったので、スライドスイッチによるiPad 操作に切り替えて前回取り組んだ嵐のハピネスの歌詞を覚えるためのスライドを一緒に操作して進めました。

 次に、奥山学習支援員の新作、YOASHOBIのアイドルの演奏スライドを一緒に操作しそれに合わせてヘルパーさんに歌ってもらいました。最初の見本のオリジナル曲の時と演奏の最後の覚醒が上がったのでそのまま文字学習へ移行しました。スライディングブロックを一緒に操作したあと、どの行を練習するか文字盤を一緒に触りながら聞いていくと、な行で口の動きがあり、確認すると目がぱちぱちしてそれで良いと伝えてくれました。ヘルパーさんにもな行を選んだことが確かに伝わりました。覚醒は低空飛行だったので、凸文字なぞりの、手のひらへの指先への書字、専用ペンでのブギーボードへの書字は一緒に行いました。なぜな行なのかなあと話しかけていると「眠い」の「ね」かもと伝えてくれました。確かに昨晩眠れてないらしく、眠たかったことを伝えたかったのかもしれません。

Saturday 23 Sept 2023 MM

視線入力/目と手の協応/文字

担当:松本

■活動の様子

・視線入力:今日から5Cを導入しました。いつものように23インチモニターにつけて、アプリでポジショニングを確認すると全てOKのマークが出ました。4Cより感度が良さそうでした。風船割り、センサリーの車、玉転がし、花火、絵描の順に取り組みました。いつもより広い範囲で視線が広がっていました。特に絵描では、筆の太さなどを変えながら長時間塗り重ねていました。流石に疲れたのか、視線を右側に外したので終わりの合図かどうか確認して終わりました。

メニュー画面までは、思ったように選ぶことが難しい様子だったので、カードを用意して選んでもらい、操作は手伝っても良いと思いました。次回までに筆の種類などのカードを作ろうと思います。

・目と手の協応:ボコボコチェーンミニを左右の手で位置を変え取り組みました。最後の引きがなかなかうまくいかないところもじっくり時間をかけて準備して自分で引き抜いていました。全身を使ってなんとか引き抜こうという強い意志が身体の動きでよく伝わってきました。

 鉄球落としでは、右手屈曲位置で何回か試した後に、机上に置いて取り組むことができました。3個直線課題では2個まではすぐに手を教材面でスライドさせて落としていましたが、3個目の手前で手が上がりました。教材面まで手を介助して置くと、横に滑らせ最後の3個目の玉を落としていました。

 スライディンブロックは、下右左上の動きに取り組みました。下右の動きは比較的すぐにできましたが、左の動きは難しくそれでも、反対方向に開いてしまう手を教材面上に介助して戻して待つことを繰り返すと左に滑らす動きが出ました。上への押す動きはさらに難しく、騎乗面ではうまくいかなかったので、右手が屈曲したところに教材を持っていくとブロックを上方向に滑らす動きが出ました。

・文字:ユニバーサルアームにつけた専用の書見台に凸文字を貼って右手でなぞりました。あ行からどの行を練習するか聞いていくと、か行のところで、手の動きと声で合図してくれました。凸文字なぞり→介助者の手のひらの上に指で字を書く→ブギーボードに専用ペンで字を書くの順に取り組みました。力は抜けていて、所々自分の動きでなぞったり、書いたりすることができました。カ行を選んだのは、コンサートにいくことを伝える(コンサートの「こ」)ためだったかもしれないとお母様が教えてくれました。

Saturday 23 Sept 2023 SY

目と手の協応/数量/文字

担当:松本

<活動の様子>

眠たそうな様子でしたが、ウォーミングアップ課題の後、少し休憩すると覚醒が戻り、残りの課題にじっくり取り組めました。

◾️目と手の協応

・ボコボコチェーン:両手交互にチェーンを引いた後に、前回と同様にボールチェーン一粒ひつつぶずつ穴に戻していきました。最初は手元の力加減に苦戦していましたが、コツを掴むと次々にチェーンを入れて最後まで根気よく続けていました。

・ボコボコ蛇腹:広げた後に素早くたたんでいました。力加減が絶妙で手指操作の向上が見られました。

・ボコボコ蛇腹スクリュー:ねじりながら接続していました。最初のネジ合わせだけ手伝いました。

・円柱さし:5個の円柱さしを、横、縦、垂直に提示して取り組みました。垂直提示では、円柱が一方に出過ぎないように両手で調整していました。

・枠ぶと体積パズル:三角柱の組み合わせで以前は苦戦していたのですが、今日はすぐに枠にピッタリとはめていました。

■数量

・数の棒パズル課題1:2、3、4、5に2の棒がいくつ入るか聞いて、棒を渡し、その後にいろいろな入れ方をするという課題を行いました。棒の数はずべて正解していました。

・数の棒パズル課題2:3、4の枠にピッタリ入るより多い数の棒を渡して余分な数の棒を当てる課題に取り組みました。入らないときは、他の棒を試したり、入れ替えたりしながら試行錯誤的に正解を導いていました。

・数の棒ピッタリ課題:6から10までを2列入る枠に入れて、1から5の棒を入れながらピッタリ枠に入る組み合わせを探す課題を行いました。これも入れ替えたりしながら、とても集中して試行錯誤して枠に収まる組み合わせを見つけていました。見つかった時には「1たす2たす3は6」と一緒に行って確認しました。いろんな組み合わせの後必ず5と幾つと聞いてはめてもらう課題にも取り組みました。この課題にはすぐに正解していました。

・11以上の数:10まで終わると11をやりたいといったので、どうしようか迷っていると、10の棒の脇に1の棒を入れて「11だ」と何かに気づいたように嬉しそうに伝えてくれたので、「じゃあ12は?」と聞くと2を横に置いてくれました。9までスムーズにいったので、「20は?」と聞くと2の棒を10の棒の横に置いてしかし何かしっくりこない表情だったので、咄嗟に10の棒を10の棒の上に置いてこれが「20、10が二つだね」というと納得した様子でした。その後21から29、そして30まで置いてみました。この取り組みの中で、自分で繰り上がりの実感をつかめる方法を見つけたようでした。このような「これどうなってんだ」という内発的な動機づけを始点とした気づきを今後も大切に積み重ねていきたいです。

◾️文字

・ウォーミングアップ課題:マグネフとみぞなぞりの本に取り組みました。マグネフは、ペンを左手にもち、玉を浮かして、右手で玉を押して落とすという課題と、直線や■、×などの課題を渡し、できるだけ早く指で押して落とす課題を行いました。早く落とせるかなと問いかけると自然になぞる動きが出てきました。ペンを使うことと玉を落とすこと両方とも楽しんでいました。夢中になっていて取り組んで気がついたら指先のコントロールが上手になる良い課題でした。

・立体コピーをなぞり:好きな友だちの名前をなぞりました。手を支えなくても全ての文字一人でなぞれました。

・クレヨンによる書字:メガネクリップでクレヨンを挟んだものを左手に持ち、凸文字指なぞりの後にA4のコピー用紙を半分に折ったものに一文字ずつ書いていきました。「は」の丸部分だけ迷っていたので手を添えて方向を伝えました。残りは一人で上手に書いていました。「さ」などの鏡文字もなかったです。書く紙の面積も最初に比べると小さくなってきています。次回は、A44つ折りで試してみたいです。

Sunday 10 Sept 2023 OK

目と手の協応/数量概念/平仮名/プリント学習

担当:谷田部

■活動の様子
 8月は、狭山市まで一人旅ができました。それ以来の再会です。体調も機嫌も良くすぐに勉強に入れました。花火の絵本を読んだ後に、花火の動画を見ました。しかし、花火の動画よりフォークソングの動画を選び直していました。今回もリラックスした雰囲気の中、1時間近く椅子に座って勉強できました。自分から終わるということもありませんでした。ウォーミングアップで、石けりの筒落としをやりました。スムーズにできました。

《数量概念/算数》
 次に円盤型はめを行いました。今回は夏の重複研で学んだことを取り入れました。位置、方向、順序を学ぶことで、特に真ん中を意識させることです。また、先月から目の使い方のトレーニングを始めたそうです。今までより自然に手元を見ているように感じました。今回は真ん中と左右を意識して型はめに取り組みました。やはり真ん中については未学習に感じたので、継続する必要を感じました。左右も、「手を挙げて」と言えばわかるのですが、円盤を左右に入れることになると曖昧になりました。間を飛ばさずに順番に入れる課題も、まだ完全にはできてはいませんでした。次に縦方向に円盤型はめをしました。2次元の平面から、上下方向を想像する勉強です。上は成功率が高いですが、下から順番にはめることはアドバイスが必要でした。

《平面構成》
 平面構成では、2.4.6枚の板を型にはめました。この勉強も、手元を自然に見ながらできているように感じました。次の板をはめる時に手でずらして隙間を開けていました。6枚の板もスムーズにはめ込むことができました。

《プリント学習》
 鉛筆を使う時は、目玉クリップ鉛筆を使っていました。目玉クリップに滑り止めと鉛筆を挟んだ筆記用具です。今回も線のなぞり書きするプリントに取り組みました。鉛筆を持つ手が机から浮いてしまいますが、目玉クリップ鉛筆を使うと本人も書きやすそうでした。

■まとめ
 8月は狭山市駅まで、特急レッドアローに乗って一人旅をするプランが実行できました。出発までは少しメソメソしていたそうですが、帰ってきた時は自信に満ちていたそうです。本人もお母様も勇気を出して挑戦した旅でした。帰る時に電動車椅子の操作を見せてくれました。上手に操作できていました。小6の時に、私が電動車椅子の指導を始めましたが、それ以降高等部3年まで空白の期間があったようです。K君には電動車椅子は無理だと過小評価されたようでした。

Wednesday 30 August 2023 FKK

音楽

担当:石橋

■活動の様子
 今回は、目覚めたばかりとはいえ、幸い目を開けている時間も長く、ご機嫌も良さそうでした。初めてお持ちしたレインスティックは、楽器の説明をしながらKさんに片方の紐を手に持ってもらって、反対側を私がゆっくりと動かすと、シャラシャラと聞こえてくる音を、一瞬ハッとする表情をしてからニコニコと何度も聴いてくれました。ヘルパーさんが、その様子を見て「Kちゃん、楽しい? 良かったね」と言って下さり、実は、進め方を悩んでいたので嬉しかったです。

 そのヘルパーさんは今まで積極的にKホイッスルを練習して下さっていた方なのですが、先月のKホイッスルのことをお話したら、あらためてKさんには難しいかもということになりました。実はその方自身も、Kさんが自分で誰かを呼べるようにと、鈴の入ったシェーカーをKさんに鳴らせようとかなり練習したそうなのですが、まだ自分で鳴らすことは一度もなかったそうでした。スイッチを押すと音が出て用を知らせる機械もあったそうなのですが、そもそも用がある時に誰かを呼ぼうという意思で押せるかどうかで、今は使ってないようでした。ましてKホイッスルは、形状的にKさんには大きくて使いづらい様子。KホイッスルはKさんオリジナルの楽器として、補助しながら時々使えれば良いかなと思います。

 さて今回は、「パプリカ」や「Whole new world」、「Over the rainbow」など、ずっとニコニコして聴いてくれました。以前好きだった様なのに、このところ時々反応のなかった「森のくまさん」や「南の島の大王」なども、今回は楽しそうに聴いてくれました。

 そしていよいよ、いつも私が弾いているミニピアノを、Kさんの前に置いてみました。ヘルパーさんが、Kさんの手を取って「ほらほら弾いてごらん」と鍵盤の上に乗せると、いきなり伸びる音が出て、チョッとビックリした様子でしたが、手を引っ込めるでもなく、興味を持ったようでした。このミニピアノは、自動演奏に合わせて鍵盤を押すと、曲に合った和音が出てきて、まるでセッションしているみたいに聴こえる機能が付いているのですが、それを思い出して自動演奏に切り替えたら、いきなり16ビートのタイトな曲が流れてきました。Kさんは、ハッとしながらもニコニコ聴いています。Kさんの大好きな「嵐」の曲に似た演奏だったからかもしれませんが、自分で鍵盤の上の握りこぶしの角度を変えてみると、ちゃんと曲にそった和音が移動していきます。私が「Kさん、すごい、すごい!上手!」と言うと、嬉しそうに笑っていました。

 初めて会った頃は、ピアノには興味を示さなかったようなのに、これは嬉しい発見でした。次回は、これを発展していければと思います。