音楽
担当:石橋
■活動の様子
O君には「中野ドリーム」で数年前にお会いしたことがありました。
忘れもしない、初めて見た文字盤を使っていた男の子でした。
かなりお兄さんになっていましたが、文字盤を押さえていく速さは当時とは比べ物にならないくらい早くて驚きました。
それをスルスルと読み取っていくヘルパーさんは、お母様も太鼓判を押すほどで、O君の気持ちを理解するのにとても助かりました。
さて早速、今ハマっているという「小さな世界」を歌おうとしたら、「小さな世界」のCDやディズニーランドの本をたくさん見せてくれました。
いろんな国の衣装と言葉で演奏されている様なのですが、それは、あらかじめ聞いていたので、一応、日本風とアラビア風とチャイナ風のアジアのメロディを挟んで歌おうとしたら、どうもO君の聴きたいイメージと違う様でした。
「今日は、ヨーロッパのドイツかフランスかイタリア風で、できればホルンの音で聴きたい」との事。
ヨーロッパは平均律で音階はどこも同じ様に聞こえるので、お国柄が分かる弾き方をすぐには思い浮かばなくて、いきなり難しいご要望でしたが、幸いキーボードにいろんな音が入っているので、その音を一つ一つ聞き比べながら「小さな世界」を演奏して、どんな風に聞こえるか試してみる事にしました。
残念ながらホルンの音はキーボードに入ってなかったのですが、いろんな音色でテンポやリズムを少しずつ変えながら弾いてみると、森の小鳥や、ゾウ、イギリスの兵隊、サンバカーニバルなどの言葉が次々と出てきました。全種類30色の音色を、繰り返し1曲で演奏してみたのは初めてでしたが、感受性と想像力が豊かなO 君は、興味を持ってくれたようでした。
お母様の話では、とにかく「小さな世界」という曲が大好きで、それを通じて、世界中の国や民族衣装だけでなく、地理や文化にも興味を持つようになったそうでした。一つの「好き」が、それを中心に視野が広がっていく典型的な例ではないかと思いますが、自分の「好き」を持っている事は素敵な事だなと思いました。
さて今度は、季節柄クリスマスソングをと「赤鼻のトナカイ」を歌ったら、何とか聴いてくれたものの、続けて「ママがサンタにキスをした」を歌い始めたら、またまた私の腕をタッチして、ストップがかかり、「ジングルベルがいい」との事。それで、「ジングルベル」を歌い始めると、途中から「小さな世界」のサビへと誘導され、そのままこの2曲のサビを交互に延々と歌うことになりました。このパターンがお気に入りらしく、O君はというと、「今日は朝からダンボの気分だった」そうで、私の歌をBGMに、O君はダンボになり、ディズニーランド中を飛び回り、ディズニーランドガイド本の中のいろんな所を紹介してくれました。その間、O君の左手は文字盤を飛び回り、右手は本の中のエリアを次々と指差していきます。
そして、その言葉を高速で翻訳して下さるヘルパーさん。O君の頭の中では、次々といろんな乗り物に乗ったり、ミッキーたちと話したりしているのかも知れません。
「ここはピノキオエリア」と聞こえたので、「星に願いを」を歌い始めたら、「もっと早く。」とのこと。どうやら「メリーゴーランドに合わせて。」とのことでした。とっさに、4拍子を3拍子に変えてテンポを上げたら、納得してくれた様でした。
西部劇のエリアでは、幌馬車風のパッカパッカという蹄のリズムで弾いたり、川のところでは、蒸気船の音をシュッシュッポッポのリズムで弾いたりと、次から次へと出てくるO君の言葉に付いていくのがやっとでしたが、なかなか楽しい音の旅ができました。
iPadのガレージバンドで、ギターやピアノの音も出してみたのですが、お気に召さない様子でした。お琴や琵琶の音には反応し、少し聴いてくれました。自分で音を出す事には、あまり興味はない様子でした。
■ 保護者の声
今は、「小さな世界」を通じて、展開する音楽を広げていく感じではないかと。
■次回活動予定
2021年2月10日(水)10:30~