Wednesday 31 Jan 2024 HT

音楽

担当:石橋

■活動の様子
 先月、よりによってクリスマスを前にインフルエンザにかかってしまったそうで、大好きなクリスマスのお祝いもできなくて可哀想だったとのこと。まだ体調が本調子ではないのか少し眠そうで、お母様が抱っこしてピアノの前の椅子に座らせようとしたものの、そんな気分でなさそうで、座ろうとしませんでした。仕方がないので、まずは私の後ろでいろんな歌を聴いてもらうことにしました。

 クリスマス前にクリスマスソングを何度も聴いていただいていたので、さすがに年が明けて、「今日は違う曲を。」とリクエストいただきました。初めはアラジンのバラード、A Whole new worldを。少しの間ジッと聴いてくれたようでしたが、大きなリアクションはないので、前に比較的楽しんでくれたAlright,OK、you win! を歌ったのですが、こちらもチョッと反応するものの、そのまま止まってしまう感じの様子でした。そこで、ゆっくりいろいろ曲の説明をしながら、「Smile」「When you wish up on a star」「It’s a sin to tel a lie」「Over the rainbow」「Crying time」等を歌ってみました。すると眠そうにしていたと思ったら、振り向くといつの間にか寝てしまっていました。ただ、少しウトウトしただけで直ぐ起きてくれたものの、お母様が、また風邪でもひいたのでなければ良いけれどと心配していた様子でした。なんとか一緒にピアノを弾けないかなと、もう一度ブルースを弾いてみたら、今度は少し反応してくれたようでした。ただ、やはり一緒にピアノを弾こうとまではせず、残念ながらノリノリのフリフリダンスも出ませんでした。

 それでは少し休んでお話をしようと、気になっていたクリスマスプレゼントのCDは何だったのか聴いてみました。サンタさんのプレゼントのCDは、シナトラだったそうでした。シナトラのライブDVDなどは、日本では売ってないモノもあるそうで、貴重な一枚だったに違いありません。相変わらず渋いものを聴いているなあと感心していたら、お母様がクロスビーとサッチモのコラボ動画を見せてくれました。最近のT君のお気に入りの一つだそうです。お母様は、T君が大好きなミュージシャンや曲調を知っていて、好きなアーティストでも、編曲が違ったり、その日の気分によっても反応しないこともあるそうです。

 なかなか手強いようですが、お持ちしたスタンダード曲集の本の中から、何かT君が好きそうなものがないか聞いてみました。
すると、前にお母様に歌ってもらいながら私が伴奏したこともあった「ハロードリー」が出てきました。まずは軽く弾いてみましたが、ちょっと感じが違うらしく、お母様がサッチモの動画を見せてくださいました。私の楽譜は、前振りの4分の3拍子から始まるのに対して、動画は、いきなり4分の4拍子の調子の良いアップテンポの曲でした。出だしの印象はずいぶん違うはずです。しかも、同じサッチモでも、ゆったり目の編曲の動画は反応しない時もあるそうですが、アップテンポでイントロに、ウクレレの様な弦楽器が入っている動画が出ると、やっと例の上半身を左右にフリフリするダンスを見せてくれました。
しかもフリフリしながら目をつぶって「これだよ、これ!楽しい!嬉しいよ~!」とばかりに、今日一番にご機嫌な様子でした。
思わずお母様と、「今日はこれかあ。」と、顔を見合わせた次第です。

 でも、何故か歌に入るとおとなしくなってしまうので、お母様が途中で止めて、イントロからまた流し出すと、「イエ~イ!」とばかりに、再びご機嫌なフリフリダンスがスタート。ところがまた、歌が始まるとシュンとおとなしくなってしまうのです。どうも、このイントロの部分が特に好きらしいということがわかりました。そういえば、前にお母様が「『トトロのさんぽ』のエンデイングの一部で、下がってくる部分だけは好きな様です。」と言ってらしたことを思い出しました。
元気で明るい曲調の曲ですが、歌が終わった後、唯一怪しげに不協和音で音が降りてくる部分のことだと思いますが、その部分だけを好きというのは珍しいなと思ったものでした。今回の発見で、T君は、そういう聴き方も出来る人なんだなと実感した次第です。感性と耳の良さに驚くばかりです。

 さて早速、サッチモがどうやっているのか、コードと音を何度も一緒に聴いていたら、サスガ、サッチモ! さりげなくイントロから、いきなり16分音符の6連発で煽りながらも、最初の小節の頭からは4拍子を4分音符4っつでこなす辺り、静と動、スピード感と安定感という対照的な音を絶妙に使いこなしているようでした。私がしきりにスゴイなあと言っていたら、お母様が寝そべっているT君を見て、クスクス笑っています。T君は、お腹を下にして両肘をついて、足を後ろに上げてゆらゆら右へ左へ。このポーズの時は、チョッと得意げで、なんだかウキウキ悪くない気分の時なのだそうでした。それを聞いて、「あ~、よかった~!」と思いました。きっと「どうだい、サッチモの凄さを今頃分かったのかい?」と思っていたのかも知れません。

 次回は、このイントロをピアノで出来たら、フリフリダンスを見せてくれるでしょうか。